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英語の定期テストなどには、よく英文を日本語に訳す問題が出題されます。しかし、英文を日本語にうまく訳せずに悩んでしまう生徒も多いでしょう。和訳でなかなか点数が伸びないのは、和訳の点数の取り方を知らないだけかもしれません。
この記事では、和訳の点数アップに役立つ2つのコツについて紹介します。つまずきやすいポイントや点数アップするための勉強法も解説していますので、ぜひ参考にしてください。
和訳勉強法のコツは以下の動画でも解説しています!
英語を日本語に直せない場合の原因と対処法

和訳をするために必要なのは、正確な文法知識と構文の把握です。
そもそもなぜ出題者が和訳問題を出すかというと、文法や構文の知識が身についているうえで適切に英語を日本語に置き換えられるかを確認するためです。
つまり、正確な構文把握と自然な日本語ができていれば、大幅に点数を失うことはありません。
和訳をするときには、
- 正確に構文をとらえられているか
- 自然な日本語に直せているか
の2点を意識するようにしましょう。
構文はとらえられるけど、日本語にうまく置き換えられない場合には、文法の知識はすでに入っているといえるでしょう。
模範解答と違うからといってすぐに間違えてしまったとがっかりするのは早いです。また、映画の字幕のようにきれいな日本語に訳せなくても、テストで点数をとることはできます。
和訳の出題パターンを知る
和訳問題の出題パターンは以下の2つです。
- 独立した一文を和訳する問題
- 長文の中の一文を和訳する問題
それぞれ見ていきましょう。
独立した一文を和訳する問題は、定期テストや参考書の問題に多いです。
設問.以下の英語を日本語に訳しなさい。
The man having a pen which penetrates an apple looks funny and have a gold jacket.
(オリジナル)
もう1つは、ある長文から下線が引いてあるところを和訳する問題は、実際の入試問題に多いパターンです。
例えば、以下のようなものです。
設問4.下線部(あ)を,主語を明示して日本語に訳し,記述解答用紙の所定欄に書け。
FIFA’s ongoing research efforts include a study of Swiss football players throughout the 2014-15 season. Both male and female players received a brain assessment before the season began, and (あ)will undergo follow-up examination should they experience a head injury. The study could help reveal the long-term effect of head injuries, and when it is safe for an injured player to return to the game. “the thing to try and work ( C ) is if there is any physical problem with the brain after concussion,” says Ranson.
(早稲田大学2015年一般入試 商学部より New Scientist, August 29, 2014)
それぞれの出題パターンの解き方をそれぞれ解説していきます。
独立した一文に対して和訳する問題の解き方
このタイプの問題では、文章全体の意図や指示語(itやthatなど)がなく、一文を和訳するだけで完結します。
そのため、単に文章の構文がわかり、そのまま訳せれば点数がとりやすいといえるでしょう。このタイプの問題は、文法が正しく身についているか、構文を正しく理解しているかが問われています。しっかりと正しい文法や構文が身についていれば問題は解けるはずです。
ある長文の中で下線が引いてあるところを和訳する問題の解き方
このタイプの問題では、文章全体の意味や指示語の正確な読み取りが必要です。特に指示語を正しく捉えられるようにしなければなりません。指示語が何を指しているのか意識しながら訳しましょう。
このタイプの問題は、文章の内容を正しく把握しているか、指示語などを文章のつながりの中で把握できるかも見られているため、より注意が必要です。

和訳でつまずくポイント3選

ここでは、和訳問題でつまずきやすいポイントを紹介します。この記事を参考に、自分がどこでつまずいているのか探してみてそのポイントを克服していきましょう。
和訳でつまずきやすいポイントは以下の3つです。
- 単語の意味が正しいか不安がつきまとう
- 指示語をそのまま訳してしまう
- 構文が身についていない
単語の意味が正しいか不安がつきまとう
そもそも単語の意味が正しいか不安という方は意外と多いかもしれません。
この原因には2つ考えられます。
1つは、知っている単語が少ないことです。知らない単語が出てきた場合、訳すのは難しくなります。
もう1つは、単語の意味を1つしか知らないことです。単語には複数の意味がある場合が多いです。単語の意味が複数あることを知らないと和訳しても意味がつながりません。
和訳してもしっくりこないときは、単語が持つもう一つの意味で訳すると意味が通じることがあります。
例えば、以下のような有名な例文があります。
A sound mind in a sound body.
ここでsoundの意味を「音の」しか知らないと「音の体の中の音の心」という意味がつながらない訳になってしまいます。
でも、soundに「健全な」の意味があると知っていれば、「健全な肉体に健全な精神」という意味だとわかります。
このように、正しい和訳をするには、単語の基礎知識をしっかり身につけることが重要です。
「ちょっと単語がやばい……!」って人は,こちらのページを参照してくださいね。
指示語をそのまま訳してしまう
和訳するときに大事なのは、指示語を正しく訳せるかどうかです。
指示語は、”it”や”that”など、すでに出てきた単語が何度も出てくるのを避けるために、置き換えられる言葉です。日本語で言う「こそあど言葉」です。
指示語は厄介な一面があるため、訳すときには注意が必要です。
例として、長文中の文章に下線が引いてあり、「下線を付した文章を和訳しなさい」があるとします。
FIFA’s ongoing research efforts include a study of Swiss football players throughout the 2014-15 season. Both male and female players received a brain assessment before the season began, and (あ)will undergo follow-up examination should they experience a head injury. The study could help reveal the long-term effect of head injuries, and when it is safe for an injured player to return to the game. “The thing to try and work ( C ) is if there is any physical problem with the brain after concussion,” says Ranson.
(早稲田大学2015年一般入試 商学部より New Scientist, August 29, 2014)
例えばこの場合だと、このtheyを単純に「それら」とそのまま訳していると意味が伝わりにくくなります。
その指示語は何を指しているのかを指示語が出てくるたびに把握するようにしましょう。
指示語を置き換える手順は以下です。
- まず「それ」などのこそあど言葉で訳してしっくりくるか?
- 指示語が単数か、複数か見極める。
- 単数なら単数の、複数なら複数の「名詞」を、その下線部より前の文章から探す。
- 具体的な単語に置き換えてに意味がおかしくないか確かめる。
構文が身についていない
和訳は、基礎的な英文法に加えて構文解釈というスキルが必要です。
例えば、SVOCを聞かれて、そのそれぞれの役割、どんな品詞がくるのか答えられるかどうかです。和訳にはこの「構文をとらえる力」も必要です。
例文を見てみましょう。
I think that that that that that boy wrote is wrong.
例文ではthatが続いています。
どのthatがどういう働きをしているのかわかっていないと正しい和訳ができません。
構文が身についていれば、このthatは関係代名詞だから、ここまでカタマリをつくって、このthatを修飾しているなどと訳せるようになります。
他にも、とてつもなく長い文章が出る場合もありますが、構文を理解していれば和訳できるようになるでしょう。
まずは構文を理解することで和訳に応用することができます。
まずは直訳でもいいので構文を身につけましょう。

点数アップにつながるための和訳の勉強法

ここから実践的な和訳の勉強法について解説します。
構文解釈の勉強法とリンクするところがあるので、そちらの勉強法も参考にしてみてください。
和訳の勉強は、高3に入ってから始めるのが1つの目安と言えるかもしれません。
大学によって和訳の問題が出ない場合も多いです。そのため、和訳の優先順位は低いといえるでしょう。
和訳には英単語、構文解釈、英文法などさまざまな力が必要であるため、まずは基礎的な知識を身につける方を優先した方がよいと考えられます。
また、志望校で和訳問題が出るのかを知ることも必要です。
もし和訳が大問1つ分出ているのであれば、週に2回1時間ずつくらいしっかり時間を取って対策する必要があるでしょう。
ただ、長文読解の中の1つの設問として出されている場合は、週1回1時間でも大丈夫です。全く出題されない場合は定期テスト前や模試前だけで十分です。
基本的な流れとしては「構文を取る」→「直訳」→「日本語の調整」の順で学習します。
具体的な勉強法は以下の通りです。
- 構文のテキストを使って、構文を把握する
- とった構文の通りに直訳する
- 日本語で変な部分を修正する
- 答え合わせでどうしてもわからない・解答例と違いすぎるところは添削を受ける
- わからなかった単語や文法をチェックする
上記を繰り返せば和訳を早く正確にできるようになるでしょう。
英文を和訳するときのコツ3つ
次に、和訳をする際に意識するポイントを解説します。
- まずは文法に忠実に直訳する
- 自然な日本語に修正する&見直しを徹底する
- わからないところは学校・塾の先生に質問する
下記の例文を使って、和訳の手順を確認していきましょう。
Ex) The projection of beautiful pictures to a screen made us happy.
まずは文法に忠実に直訳する
まずは、文法事項に照らし合わせて直訳していきます。SVOCMや接続詞の前後関係、因果関係や時制についても確認しながら訳してみましょう。
下記の例文を直訳してみましょう。
The projection of beautiful pictures to a screen made us glad.
きれいな写真のスクリーンへの投影は私たちを幸せにした。
とりあえず訳せましたがまだ不自然な日本語です。
自然な日本語に修正する&見直しを徹底する
和訳においては、日本語の使い方も見られます。
せっかく文法が正確なのに、不自然な日本語だと採点者も丸をつけにくいです。
訳したらその度に読み直して日本語として自然か、また文法の抜けがないか確認するようにしましょう。
特に「無生物主語は主語を置き換えて受動態の和訳にする」というポイントを意識すると自然な日本語に訳せます。
無生物主語とは、主語が生物(人、動物など動作をするもの)でない構文を指します。
例文で言うと、「スクリーンへの投影が」「喜ばせる」のように生物でないものが喜んでいるという表現は不自然に感じます。
このような場合は、人や動物が主語になるように受動態にするとよいでしょう。
例文の場合は、makeがあるためその訳し方に注意しながら
The projection of beautiful pictures to a screen made us glad.
きれいな写真のスクリーンへの投影は私たちを喜ばせた。⇒きれいな写真のスクリーンへの投影によって私たちは喜んだ。
このように受動態に直すと自然な日本語になります。
projectionを投影と直訳すると、片言の日本語に感じてしまうことがあります。「動詞+こと」で名詞化して「映すこと」と訳すると自然な日本語になる場合があるので覚えておきましょう。
例文のprojectionもこの方法で和訳してみます。
The projection of beautiful pictures to a screen made us glad.
きれいな写真のスクリーンへの投影は私たちを喜ばせた。⇒きれいな写真のスクリーンへの投影によって私たちは喜んだ。⇒きれいな写真がスクリーンに映されたことで私たちは喜んだ。
と、訳せます。
ポイントは、こういう場合の「of」はその前の名詞「projection」の主語みたいな役割になることです。「写真の投影」より「写真が映ること」と表現する方がより自然な訳に感じるでしょう。
他にも、仮定法の訳を大げさに訳すと不自然な日本語になりがちです。仮定法とは、「まるで~のように」「もしも~ならば」など現実に起こってない事柄を仮定して表現する文法事項です。
ここまで自然な日本語に訳するポイントを解説してきましたが、MARCHレベルの一部の大学・学部(青学など)や国公立難関校を除いては、「直訳」を意識すればたいていきちんとした日本語になります。
もし難関校を受験するのであれば、しっかり日本語にも気を配っていくようにしましょう。
わからないところは学校・塾の先生に質問する
自分だけでは和訳の対策が難しい場合、学校や塾の先生に採点・添削をお願いするのも1つの方法です。
学校の先生や塾の先生は「教科のプロフェッショナル」です。
わからないところを質問をすれば、たいていの先生が快く引き受けてくれるはずです。
同じように和訳の添削指導も多くの先生が快く引き受けてくれるでしょう。
自分が一番信頼できる先生や評判が高い先生に勇気を出して添削を依頼すれば、「採点者側」からの視点でアドバイスがもらえるでしょう。

和訳の演習におすすめの参考書【レベル別・段階別】
ここからは、和訳をどの教材で勉強するか迷っている方におすすめの参考書を紹介します。
文法用語の知識が不十分なレベル
高1・高2~共通テストレベル
MARCHレベル
難関大レベル
もう一度勉強手順も確認しておきましょう。
- 構文のテキストを使って、構文を把握する
- とった構文の通りに直訳する
- 日本語で変な部分を修正する
- 答え合わせでどうしてもわからない・解答例と違いすぎるところは添削を受ける
- わからなかった単語や文法をチェックする
まずは構文の勉強を1周やってみて、自分の目指す学校に和訳問題があるのであれば、2周目以降このやり方をていねいに繰り返していきましょう。これだけで和訳の力はぐんと上がります。
和訳の勉強についてよくある質問

最後に、和訳を勉強する際によくある質問をまとめました。
Q1, かっこいい日本語に訳したいときはどうしたらいいですか?
問題集などの模範解答は意訳されているためかっこよく見えるかもしれません。同じように訳したほうがかっこいいし、点数にもつながるのでは?と感じる方も多いでしょう。
しかし、採点者がみているのは、表現のかっこよさではなく文法事項があっているかどうかです。
もし、解答が意訳されていて自分の訳が合っているか分かりにくい場合には、学校や塾の先生に確認してみましょう。
Q2, 全文を和訳する課題は効果ありますか?
学校の教科書に掲載されている長文などを全て訳する課題にはあまり意味がありません。
長文読解と和訳では求められていることが違います。長文は速読用にして、構文解釈系のテキストの問題のみを和訳演習に使うようにするのがベストです。
Q3, 大学入試で和訳の対策は意味ない?勉強の優先順位のつけ方は?
自分の志望校に和訳の問題が出題される場合は対策は必ずするべきです。
とはいえ、配点との兼ね合いもあります。どうしても試験期間内に解き終わらない場合には、後回しにするのも1つの方法です。
また、日本語が少しおかしくても構文が合っていれば点数が与えられる場合もあります。試験当日は、直訳でもいいから何かしら解答を書いておくとよいでしょう。
まとめ
和訳問題を解くうえで大事なのは「正確な文法」と「自然な日本語」です。
和訳の勉強法は、構文解釈の勉強法と重複する部分が多いです。まずは、英文法、英単語、構文解釈をしっかり身につけることを目指しましょう。
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