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「漢文が苦手」「漢文の勉強をしたいけど、何から手をつけていいのか分からない」
こんなお悩みを抱えている人は、まずは、漢文の句法を勉強してください。
句法を覚えることは、漢文を読むための基本です。また、覚える数も少なく、短期間でマスターすることができます。
この記事では、1ヶ月で漢文の句法を覚える勉強法を紹介します。
漢文の句法の意味
漢文の句法とは、決まった意味を持っている、漢字のセットのことです。
同じく「言語」を学ぶ古文や英語とで異なり、漢文では、1つ1つの文字が意味を持っています。また、漢文では、複数の文字を組み合わせて作られた1つの単語が存在します。
この複数の漢字の組み合わせが句法です。
句法を正確に覚えていると、速く正確に漢文の意味がつかめるようになります。
漢文の句法の勉強法
では次に、句法の勉強法を詳しく説明します。
覚えるべき漢文の句法を把握する
漢文には、覚えておかないといけない句法と覚えなくてもよい句法があります。覚えておかないといけない句法を知り、覚えていきましょう。
漢文はすべて「漢字」で書かれているため、現代でも使われている漢字も多くみられます。
漢字は1文字1文字に意味があるので、現代でも使われている漢字は、なんとなく意味がわかるようになっています。
そのため、特殊な漢字のみ覚えておけば、単語をそこまで覚えずとも意味を理解することができるのです。
漢文で覚えるべき漢字は、以下の3点のいずれかのものです。
- 決まって特殊な訳になる、頻出の漢字
- 現代で使われている漢字と異なる意味のもの
- 当時の官位や身分などの用語
また、句法は、文章の意味の鍵になります。
例えば「使」という漢字が出てきて、後ろに人名、動詞と続いていたらほとんどの場合「誰々に〜させる」という「使役」の意味になります。
「況」という漢字が出てきたら「いわんや」と読み、決まって「ましてや〜はなおさら…」と訳さなければいけません。
一部の漢字は現代にはない、訳の仕方をする必要があり、かつ文の意味を大きく変えてしまうものになっています。
句法をきちんと覚えていることで、漢文の意味がつかみやすくなるのです。
「返り点の読み方→句法→単語」の順で覚える
漢文で覚えるべき文法は、以下の順に覚えてください。
- Step.1 返り点の読み方
- Step.2 句法の暗記
- Step.3 単語・漢字の意味
上の3点について、覚えるべき内容と理由を説明します。
Step.1「返り点の読み方」について
漢文を読むときには、漢字の並びを意味の通じる日本語で読めるように直す必要があります。読み方の順序を示すために入れられている記号が返り点です。
そのため、漢文を読むためには、最初に返り点を勉強しておきましょう。
返り点は、以下に示した4種類があります。
- レ点
- 一二三点
- 上中下点
- 甲乙丙点
上記の返り点を暗記する方法として、音読をおすすめします。
『漢文ヤマのヤマ』などの参考書で返り点のルールを理解してから、例文の音読を繰り返してください。
例文を10回音読することで、自然と返り点のルールを覚えることが可能です。次第に意識しなくても読めるようになってきて、漢文の返り点をマスターすることができます。
Step.2「句法の暗記」について
句法には、以下のような種類があります。
- 否定
- 反語
- 使役
- 疑問
この他にも種類があるのですが、よく出る句法は全部で100個程度です。英語の文法に比べれば、圧倒的に覚えるべき量は少ないです。
また、句法の勉強法も、返り点の読み方と同じく「音読」です。参考書にある例文を、繰り返し音読してください。
Step.3「単語・漢字の意味」について
最後に、「単語・漢字の意味」を覚える必要があります。ただし、漢文で覚えるべき単語や漢字の意味は50個もありません。
英語の単語帳には、無数の英単語が載っていますが、漢文は50個程度覚えれば単語の勉強は完了です。
このわずかな単語を覚えることで、漢文の読解が簡単になり、単語の読み方や意味を問う問題が解けるようになります。
Step1の返り点を覚えて書き下しをし、Step2と3で覚えた句法や単語、漢字の意味を理解すると、だいたいの漢文の意味を理解することが可能です。
漢文句法の覚え方のコツ
ここからは、句法を暗記するおすすめの方法を解説します。
短期間で覚えたほうがいい
漢文の句法は、短い期間で集中して覚えるようにするのをおすすめします。
覚えるべき句法は、50〜60個で、細かいものを含めて100個程度です。
1日に5つの句法を覚えると、10〜20日くらいで1度覚えきります。そして、早めにもう一度覚えることで、完全に忘れてしまう前に改めて覚えられ、記憶に残ります。
もし、1日1つ覚えて100日で覚えるように長期間かけて覚えると、3か月後には最初にやった句法は忘れてしまいます。
ぜひ、1ヶ月で8割以上句法を覚えきるつもりで取り組んでください。
漢文句法の暗記におすすめの参考書『漢文ヤマのヤマ』
『漢文ヤマのヤマ』は、漢文の句法で重要なものを一通りまとめているシンプルな問題集です。難易度も高すぎず、「右ページで句法・例文と解説、左ページで問題」と、勉強しやすく作られています。
『漢文ヤマのヤマ』は、句法だけでなく文構造や再読文字、返り点などの基礎、また実戦形式の問題やよく出る漢字の読み・意味で重要なものまで書かれています。漢文の文法まわりの勉強はこれ1冊完璧にすれば問題ありません。
『漢文ヤマのヤマ』がおすすめな理由は、以下の5点です。
- 共通テストや2次試験でよく出題される句法が掲載されている
- 入試によく出る漢字の読み方や意味が覚えられる
- 漢文初心者にもわかりやすい解説がついている
- 演習問題がついていて、入試の実践ができる
- 基礎的な部分から解説されている
『漢文ヤマのヤマ』を使った勉強法
漢文の勉強のポイントは次の3つです。
- 句法と例文を何度も唱えて覚える
- 問題を解いて定着させる
- 短い期間で何度も繰り返す
以上の3点を頭に入れながら、『漢文ヤマのヤマ』に3周、取り組んでください。
ここから、3周取り組むなかでの勉強法を具体的に説明します。
漢文句法の勉強法｜『漢文ヤマのヤマ』1周目
1周目は『漢文ヤマのヤマ』における右ページの「句法の解説」と「句法の例文」を活用していきます。
左ページにある問題は2周目以降に活用していくので、見る必要はありません。
- Step.1 「句法」「読み」「意味」と「ヤマを講義」（解説）を読むす
- Step.2 書き下し文を見ながら、句法とその句法の例文を一回だけ音読する
- Step.3 意味を現代語訳で確認する
- Step.4 意味を理解した上で、句法を10回、句法の例文を10回音読する
漢文の句法を暗記するポイントは音読です。声に出して句法の例文を何度も音読することで、効率よく勉強することができます。漢文には独特のリズムがあるので、声に出すことで、リズムと一緒に覚えることが可能です。
1周目はスピードを意識して句法をサクサクと理解して、例文や句法そのものを覚えていく段階です。
勉強法を例をあげて説明します。使役形の句法で下のようなものがあります。
A 使 B C
『ヤマのヤマ』では、この文章の下に「ABをしてCせしむ」という読みと「AはBにCさせる」という意味が書いてあります。
最初に、この「読み」「意味」、そして「ヤマを講義」と書いてある解説部分を読んで理解してください。
理解できたら頭に入れます。Step1で最初に見た句法を読みのとおりに一度音読して、この句法がどこで使われているかを意識しながらその左の例文も音読してください。
そのあとは、意味も確認してあとは何度も繰り返し読むだけです。
「ABをしてCせしむ、ABをしてCせしむ……」というふうに繰り返し唱えてから、例文も何度も声に出して読みましょう。
1周目のポイントは次の通りです。
- 1周目で完璧に暗記する必要はない。どんどん進めることを意識する。
- 1周目では、問題を解かなくてよい。解説を読むのと音読だけを行う。
- 句法の例文は、すべて10回以上音読する。
最も重要なのは、1周目で完璧に覚えようとしないことです。完璧にしようとして時間をかけるより、どんどん先に進んで早めに2周目に進みましょう。
漢文句法の勉強法｜『漢文ヤマのヤマ』2周目
2周目からは左ページにある問題にも取り組みましょう。問題を解くことで、漢文の句法が定着していきます。
1周目で学習した「句法の解説」と「句法の例文」は、軽く触れる程度でいいので、問題を解くことに集中してください。
- Step.1 「句法の例文」を3回音読する
- Step.2 音読をして意味が分からない句法があれば、「句法の解説」で確認する
- Step.3 左ページの問題を解く・Step.4 自己採点を行い、間違えた問題は解説を読んで理解する
漢文の句法を暗記するポイントは音読です。声に出して句法の例文を何度も音読することで、効率よく勉強することができます。漢文には独特のリズムがあるので、声に出すことで、リズムと一緒に覚えることが可能です。
2周目の勉強のポイントは次の通りです。
- 間違えた問題に✕印を付けておく
- 半分以上の正答率を目指す
実際に問題を解いていくと、訳が難しい場合もあるかもしれません。
正答率はあまり気にしなくてもよいです。現代語訳は、難易度の高い作業なので、半分以上正解することを目標に取り組んでください。
間違えた問題には必ず×印をつけておいて、3周目以降でもう一度取り組めるようにしましょう。
漢文句法の勉強法｜『漢文ヤマのヤマ』3周目
3周目は問題を解くことだけに集中してください。1〜2周目で句法の知識は身についているので、3周目では、実際に問題の中で活用していく練習を行います。
また、3週目では、2周目で間違えた問題を中心に解き直してください。
- Step.1 2周目で×印をつけた問題だけを解く
- Step.2 Step1で再度間違えた問題は、漢文を5回音読し、解説を読む
- Step.3 左ページの問題演習が終わったら、右ページの例文を3回音読する
Step2で間違えた問題は、改めて×をつけておいてください。100％正解できる必要はないですが、1〜2ページにつき1つを間違えるくらいの正答率を目標にしましょう。
3周目でこの正答率にならなければ、同様に4周目に取り組んでください。
漢文を勉強する時期
「文系で個別試験で漢文を使う」という場合も「共通テストでしか漢文を使わない」という場合も、なるべく高1〜高2の長期休みを活かして取り組むのがおすすめです。
漢文の句法は覚えることが多いわけではないため、1ヶ月ほどでまとめてやり切ることができます。
短期間で勉強できるからといって後回しにしてしまうと、直前期は理科や社会などに時間を取られてしまい、漢文の句法を復習する時間がなくなることもあります。
今高3の人は、今すぐに漢文の勉強に取り組んでください。高1・高2の人は次の長期休みを活かして、1日30分から1時間程度使ってまとめて覚えてしまいましょう。
覚えることが少ない分、早めに覚えておけば模試の点数が上がりやすくなるため、自信もつきます。
学校の授業だけでは漢文句法の勉強は不十分になりやすい
学校の授業では、教科書で出てくる内容だけを扱う場合が多く、すべてを網羅できないことがあります。句法単体で演習したりテストをしたりということがない場合も多いです。
また、ほとんどの学校の漢文の授業は、古文と交互に行われ、句法を習うのに1年以上かかるので、習い終えるころには最初のころの内容を忘れてしまいがちです。
「共通テストでしか漢文を使わない」という場合でも、時間を取って、まとめて覚えるようにしましょう。
共通テストでしか漢文を使わない場合の勉強内容
共通テストでのみ漢文を使う場合でも、句法はすべて覚えておく必要があります。
共通テストで出題される漢文の問題のうち、20点分ほどは句法や漢字を覚えていれば解ける問題です。
また、「白文に正しく返り点を打って、訳を答える」という問題はほぼ確実に出題されています。
（2022年共通テストより）
上の問題は句法を覚えていれば解けるものです。「この漢字はこの句法で使われていたから、こういう読み方で…」と正解にたどり着くことが可能です。
国語のなかで、漢文は最も点数を取りやすく、かつ短時間で解けるようになります。また、漢文の点数を安定させると、共通テストの国語の点数が安定しやすくなります。
共通テストでしか使わないからといって甘く見ずに、なるべく早い段階で句法を覚えておくようにしてください。
すでに高3で『漢文ヤマのヤマ』を使って覚える時間がない人は、共通テスト向けの『共通テスト漢文満点のコツ』を活用すると、学習時間を短縮できます。
漢文句法は音読を繰り返して短期間で覚えよう
漢文は、『漢文ヤマのヤマ』を使って勉強するのをおすすめします。また、覚えるコツは、音読を繰り返すことです。
以下に、漢文で覚えるべき内容を、暗記するためのポイントをまとめています。
- 「返り点の読み方→句法の暗記→単語・漢字の意味」の順に覚える
- 句法や例文は何度も唱えて覚える
- 夏休みなどの短期間でまとめて覚える
漢文の句法は覚える数も多くなく、身につけるだけで漢文の点数を安定させられます。夏休みなどの長期休みを活用して、「短期間で」覚えてしまうようにしましょう。
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