一般入試・学校推薦型選抜と並ぶ入試方法のひとつが「総合型選抜」です。
総合型選抜は、以前はAO入試と呼ばれていた入試制度。約8割の大学が総合型選抜を取り入れており、実施する大学は増加傾向にあります。
この記事では、総合型選抜の内容やスケジュール、具体的な対策について詳しく説明します。
総合型選抜とは
総合型選抜とは、各大学が掲げる「アドミッションポリシー」に合致する生徒を採用するための入試制度です。
アドミッションポリシーとは、各大学が「どのような学生に入学してほしいか」を定めたもので、大学によってさまざま。
例えば、「課題解決能力があるか?」「将来グローバルに活躍したいという志はあるか?」などです。
そのため試験では、学力以外に「学習意欲」「人物像」の面も加味して選抜されます。
つまり、学校推薦型選抜よりも大学と学生のマッチングを重視した試験なのです。
国公立大学の総合型選抜
総合型選抜では学生の人物像を判断するため、面接や小論文を用いるのが基本です。
しかし国公立大学の総合型選抜は、私立大学に比べると学力も重視されることが多いです。
学力を判断する方法として、共通テストを活用する大学が増加傾向にあります。
例えば、大阪大学では採点方式が採用されており、以下の流れとなっています。
1次選考:書類審査
2次選考:大学入試共通テスト・小論文・面接
また、東京大学法学部の面接では「個別面接」に加え「少人数でのディスカッション」による選考が行われます。
私立大学の総合型選抜
私立大学の総合型選抜の出願条件は、国公立大学に比べると厳しくはありません。
実際の選抜では、「小論文」「面接」「書類審査」「基礎学力試験」「適性検査」などのいろいろな審査を組み合わせて行います。
一般的に多い「書類審査」「小論文」「面接」の他に、「プレゼンテーション」「グループディスカッション」などを課す大学もあり、かなり違いがあるのが特徴です。
これらの審査を通して、学生の「学びへの意欲」「目的意識の高さ」「入学後ののびしろ」などを評価します。
例えば、早稲田大学の創造理工学部では、
1次選考:書類審査
2次選考:筆記試験・面接審査
が行われますが、理系学部では学力試験が課されるケースもあります。
大学によって大きく異なるので、必ず綿密に調べよう
総合型選抜の特徴を国公立・私立に分けて書きましたが、大学ごとで違いが大きい入試なので、一概に分けて考えることもできません。
大学ごとの総合型選抜制度をよく理解することが必要ですので、受験に際しては綿密に調べましょう。
総合型選抜のスケジュール
ここでは総合型選抜のスケジュールを確認しておきましょう。
次は2022年入試の国公立・私立の総合型選抜のスケジュールです。
国公立 | 私立 | ||||||||
共通テストを課す | 共通テストを課さない | ||||||||
4月 | |||||||||
5月 | エントリー | ||||||||
6月 | |||||||||
7月 | |||||||||
8月 | |||||||||
9月 | 出願開始(9月1日~) | ||||||||
10月 | 選考 | 出願 選考 結果発表 | |||||||
11月 | |||||||||
12月 | 合格発表(~2月15日) 入学手続き(~2月21日) | ||||||||
1月 | 共通テスト(1月15・16日) | ||||||||
2月 | 選考 | 入学手続き | |||||||
合格発表(~2月15日) 入学手続き(~2月21日) | |||||||||
3月 |
※2022年のスケジュールです。
※私立大学は大学ごとにスケジュールが異なります。
総合型選抜の出願開始は「9月1日以降」と決められています。
しかし、出願前にエントリーが必要な大学もあり、エントリーシートに高校での活動や入学後に取り組みたいことを記入して提出します。
この場合、エントリーシートを元に面接が行われたり、課題提出が求められたりすることもあるため、早めに対策をはじめましょう。
また、学校推薦型選抜が1カ月ほどで出願から合格発表まで終わるのに対して、総合選抜は比較的選考期間が長い上、面接なども多いです。
入試日などは大学によってばらばらで、9月から2月まで複数回の入試日を設定していることもあるので、各大学の情報をしっかり確認しましょう。
総合型選抜に出願する前に押さえるべき3つのポイント
総合型選抜の出願前に、必ず知っておくべきポイントが3つあります。
クリアしなければいけない出願条件や、バリエーション豊かな選考方法など、総合型選抜の重要ポイントを確認しましょう。
1.総合型選抜の出願条件
総合型選抜は、学校推薦型選抜に比べてあまり厳密に出願条件を定めておらず、比較的広く学生を募集する傾向があります。
ただし、募集条件は大学によってさまざまです。しっかりと各大学の出願条件を確認しておきましょう。
出願条件は次のようなものがあります。
学業成績 | 調査書の評定平均など。 |
資格・検定 | 英検・TOEIC・TOEFL・GTECなどの語学検定をはじめ、受験する学部に関係する語学資格・検定を評価の対象にしていることがあります。 |
卒業年度 | 高卒生が可の場合もあります。 |
併願の可否 | 専願が基本ですが、併願を認めていることも。同じ大学内での他学部との併願はNGという場合もあります。 |
オープンキャンパスの参加 | オープンキャンパスで行われるセミナーに参加し、レポートを提出することも。 |
コンクールでの入賞経験 | 全国コンテストの上位入賞者などの条件があることも。 |
これらを通して大学が知りたいのは、学生が「大学の求める人物像(アドミッションポリシー)に一致しているか?」ということです。
そのため、大学のHPなどで特徴を把握しておきましょう。
2. 総合型選抜における評定平均
従来の総合型選抜では、学力以外の要素が大きな評価対象となります。
しかし、AO入試から総合型選抜に変わったことで、学力を評価対象とする大学も増えました。
AO入試から総合型選抜に変わったことで、文部科学省が各大学に求めた改善点があります。
- 調査書などの出願書類だけでなく、1)各大学が実施する評価方法等、もしくは2)大学入学共通テストの少なくともいずれか1つの活用を必須化すること
- 志願者本人の記載する資料を積極的に活用すること
これらは「総合型選抜において何らかの形で学力を測ることが求められるようになった」ということを示しています。
そのため、調査書内の評定平均(学校での学業成績)は総合型選抜でも重要事項です。
形式上は従来の選抜方法と変わらなくても、小論文や面接で知識を問われる傾向があります。
3.総合型選抜の選考方法
総合型選抜の基本的な選考方法は以下の3つです。
- 書類(調査書・志願理由書など)
- 小論文
- 面接
書類・小論文・面接以外に、次の選考方法を行う大学もあります。
プレゼンテーション | 面接時に行われることもあり、特定のテーマが与えられプレゼンをします。 |
ディスカッション | 面接時に行われることもあり、少人数でグループになって与えられたテーマで話し合います。 |
セミナー・模擬授業 | セミナーや模擬授業を受講後、レポートや課題の提出、面談、ディスカッションなどをします。 |
学力試験 | 共通テストを活用したり、大学ごとの個別試験が課されたりすることもあります。 |
実技試験 | 芸術系や体育系の学部学科では、実技披露や作品提出が必要なことがあります。 |
このように大学ごとで選考方法は大きく異なるので、志望大学の選考方法はしっかりとチェックしておきましょう。
総合型選抜で必要な受験対策を紹介!
総合型選抜での基本的な選考方式は「面接」「小論」「書類」の3点です。
各大学の特徴的な選考方法も気になりますが、まずはこの3つをしっかりと対策しましょう。
ここからは、上記3点の対策をする上で、最低限守るべきポイントを解説します。
ただし、解説前にひとつ覚えてほしいのは、「総合型選抜は楽、という考え方は間違い」ということ。
総合型選抜では科目試験が課されないため「対策が楽」と軽視されることがあります。
しかし、近年では総合型選抜でも学力試験が用いられることもありますし、総合型選抜は一般選抜よりも定員が少ないので、合格は難しいです。
しかも、選抜方法が大学によって異なるので、一般選抜とは別の対策をしなければなりません。
そのため、一般選抜のみの入試と比べて勉強時間が増えます。
「入試が早く終わるから」「勉強するのが嫌だから」などの消極的な理由で受けるべきではありません。
「総合型選抜は楽ではない」ということを心得た上で、以下の具体的な対策について見ていきましょう。
並行して一般選抜の勉強も必ず取り組む
総合型選抜は募集定員が少ないため、合格可能性は低いです。
一般選抜の合格点のような「目に見える基準」よりも、学生の人柄や活動が重視されるのも、合格が難しい理由の一つです。
そのため、総合型選抜は「受かればラッキー」くらいの気持ちにしておき、一般選抜に向けた対策もしておくのが基本。
「総合型選抜で不合格だったから一般選抜の勉強をはじめよう」では確実に間に合いません。
「総合型選抜の対策+一般選抜の勉強」の両方が必要なので、一般選抜のみで受験する人の2倍勉強するつもりでいましょう。
面接対策:アドミッションポリシーを踏まえた自己アピール
面接対策では、「アドミッションポリシー」や「大学入学後のカリキュラム」を知っていることは大前提です。
その上でどんな質問がされるかを想定し、アドミッションポリシーに合う自分をアピールできるよう、受け答えの練習をしましょう。
面接では具体的に以下のような質問をされることが多いです。
- 大学、学部学科の志望理由
- 高校での活動実績
- 自身の長所短所
- 将来の夢や大学でやりたいこと
- 大学の印象
- 時事問題に関する質問
- 専願や併願に関する質問
中でも、大学の志望理由では「なぜその大学で学びたいのか」「他の大学ではダメなのか」をしっかりと伝える必要があるため、受験校について調べておく必要があります。
とくにアドミッションポリシーは、学校によっては抽象的で理解に時間がかかることもあります。
その場合はオープンキャンパスなどで直接質問をして、具体的に理解しておくのもおすすめです。
小論文対策:書き方の型を身につける
小論文とは、自分の意見を述べるために書く文章です。
小論文には書き方の型があります。書き方の型をを身につけるには、何度も書いて添削してもらうしかありません。
志望校によって、小論文を通して何を評価しているかは違います。
例えば、以下のポイントを評価します。
- 論理構成がしっかりしているか?
- 自分の意見をきちんと書けているか?
- 意見の中身がしっかりしているか?
まずは過去問などを通じて、志望校が小論文を通じて評価しているポイントを把握しましょう。
エントリーシートの書き方対策:志望動機と学部の特色を結びつける
エントリーシートも書き方の対策が必要です。何度も書き、何度も添削してもらいましょう。
エントリーシートは、いろいろな人に見てもらい意見を聞くことで内容が充実します。
適当に書けば「これは適当に書いているな」というのが分かります。
「添削してもらったものを大学に提出するの?」と思うかもしれませんが、大学側も添削された文章を提出してくるつもりでチェックしているので大丈夫です。
エントリーシートの内容をもとに面接が行われることもあるので、できるだけ具体的に書きましょう。
何度も書き直すことを前提として、早い時期から余裕を持って準備しましょう。
オープンキャンパスや学校説明などで必ず過去の傾向を聞こう
一般選抜では、過去問を研究すれば入試の出題傾向が分かります。
しかし、総合型選抜は過去に行われた選考の情報が少なく、「今までの面接ではどんな質問があったか」「面接と小論文ではどちらが大事なのか」「過去の小論文のテーマには何があったのか」など分からないことも多いです。
けれども、過去の傾向を知らなければ、志望校に合った対策ができません。
そのため、もし学校の先輩で総合型選抜を受けた人がいれば、先生や先輩に直接聞いてみましょう。
知り合いに総合型選抜を受けた人がいない場合には、オープンキャンパスや学校説明会で聞くのもありです。
一般選抜以上に入念な情報収集が必要なので、力を入れて取り組みましょう。
STRUXでは現役大学生が総合型選抜対策を徹底サポート
総合型選抜では、アドミッションポリシーに一致した学生を選抜するための、一般選抜とは異なる入試だと分かりました。
総合型選抜は、書類・小論文・面接といった基本的な対策も必要ですが、その他にも各大学が行う選抜方法に合わせた対策が求められます。
しかし、エントリシートのチェックや小論文の添削、総合型選抜の情報収集はひとりではできません。
誰か受験に詳しい人に見てもらう必要があります。
学習塾STRUXは、生徒それぞれに合わせた学習を組み立ててくれる個別指導塾です。
講師のサポートを得ながら学習計画を作成できるので、志望校合格に必要なことが明確になります。
もちろん総合型選抜にもばっちり対応!早くから準備が必要で、選考に長い期間がかかる入試形式もしっかり対策できますよ。
また、現役大学生が指導してくれるので、各大学の情報も得やすく総合型選抜を徹底的にサポートしてくれます。
定期的に面談もしているので、疑問や不安もすぐに解決できますよ!
「総合型選抜を受けたいけれど分からないことが多い」「具体的な対策が進まない」といった悩みを持っていたら、一度STRUXの体験授業を受けてみてください。
無料で勉強計画を立てられるので、入試までの道のりが具体的に見えますよ。
*記事に掲載中の学習塾STRUXプランは執筆時点でのものであり、一部変更となっている可能性がございます。詳しくは料金ページをご覧ください。