学習塾STRUX塾長の橋本拓磨です。
今回は共通テストについて詳しく触れていきたいと思います。
絶賛入試が揺れ動いている中で、共通テストの準備が着々と進められています。今回は過去数回実施されているプレテストを参照しながら、共通テストに向けてやるべきことについて話していきます。
センター試験VS共通テスト、どう違う?傾向と対策
各科目ごとに「センター試験」と比較してどのように変わるのかを見ていきましょう。
基本的にはすべて平成30年度試行調査をもとに分析しています。
総合
まず全体像ですが、ここは「記述式が登場する」以外は大きくかわりません。
以前は「複数回実施にしてチャンスを増やす」と検討していましたが、導入できず現行通り1月中旬土日に実施することになりました。
英語
おそらく一番大きく変わるのがこの「英語」の部分です。英語については第1問から大きく問題形式が変わるほか、リスニングとの配点比率も大きく変わってくるので注意が必要です。
配点・問題構成
- 筆記:200点→100点(リーディング)
- リスニング:50点→100点
筆記が「リーディング」というふうに置き換わり、配点が半減します。名前が変わったとおり、いままであった文法問題や発音・アクセント問題はなくなりました。
おそらく今までの長文問題を知っている人からすると、「長文は1問間違うだけで5点以上飛ぶからやだなあ……」なんて人もいたと思いますが、長文全体が100点満点、かつ大問数は6つですべて長文や票の読み取り問題になっているので、1問あたりの点数は1〜2点に落ち着くことになります。
ただ、その分リスニングの配点が上がっているので注意が必要です。リスニングはセンター試験であれば1問2点だったのが、問題数はあまり変わらず配点が倍になっているために1問あたり3点〜4点の配点になっています。
より確実にリスニングの対策をしておかないと、リスニングが得意な人と苦手な人で英語の点数に差が出やすくなることになります。
リーディングの細かい問題構成は以下の通りです。
大問 | センター(配点) | 共通(配点) |
---|---|---|
第1問 | 発音アクセント(14) | 掲示・Webサイトの読解(10) |
第2問 | 文法(47) | レシピ・記事の読解(20) |
第3問 | 文削除、会話文など(33) | ブログ・雑誌の読解(10) |
第4問 | 図表読解など(40) | 記事(図表つき)読解(16) |
第5問 | 小説・エッセイ読解(30) | 雑誌読解・ポスター作成(20) |
第6問 | 評論読解(36) | 記事読解(24) |
第5問だけは1問あたり5点も割り振られていますが、それ以外の大問は1〜3点ずつになっています。今まであった評論や図表の読み取りが減少しており、会話文に関しては削除されています。評論を削ったのはそれをすべて「新聞記事」「雑誌記事」として扱っているからで、評論がないからと言っても難しい文章はあります。
「ポスター問題」の例(大学入試センターHPより)
「レシピ問題」の例(大学入試センターHPより)
ただ、いままでのように「評論がパラグラフごとにしっかり分けられていて、根拠が拾いやすい状態にしてある」ということがなくなったので、多少初見での難易度は上がっています。最後には「記事に見出しをつけるとしたらどれか」という、私立大でよく見られるような問題が追加されています。
形式が変わった分、総じて実用を求めるスタイルになっています。これは英語に限った話ではないですが、「〇〇くんは学校の授業でディベートをすることになり、以下の記事を読みました」とか「以下の雑誌記事を参考にポスターを作ることになりました」という注釈が入っています。
ただ、これはあくまで注意書きとして増えただけで、実質的な問題は文章の正確な読み取りがほとんどなので、形式になれさえしてしまえばそこまで問題ないでしょう。
問題文がすべて英語に変更されています。
リスニングは大きく設問はかわりませんが、大問によっては英文放送が1回のみになる問題もあるので、難易度が少し上がっているようです。
対策
さて、大きく出題が変わる英語ですが、基本的にはいまと同じく基本的な部分からの学習を進めていく必要があります。
文法や発音アクセントが出ないぶん、そこの個別対策は不要ですが、長文を読むために必要な能力は変わらず単語・文法・解釈であるので、そういった基本の部分から勉強を進めていきましょう。
リスニングも、「やること」としては従来と変わりません。ただ、配点が大きくなっているぶん共通テストである程度点を取らないといけない人は、受験生の夏ごろから少しずつ対策を進める必要があるでしょう。
とはいえリスニングもやはり長文までの上積みがあってのものなので、まずはそこまでをしっかり固めきりましょう。
教材はセンター試験向け、または共通テスト向けに出されている予想問題などを使いましょう。
放送が1回のみになる設問もあるため、今まで以上に「先に設問を読む」だったり「注意すべきキーワードを掴んでおく」などを徹底しましょう。
国語
記述式が大きく騒がれているのが国語です。国語と数学1のみ記述式が導入されますので、こちらも詳しく見ておきましょう。
配点・問題構成
実は配点自体は大きく変わらず、今まで通り大問4つ構成で各50点になっています。
記述はどこいったのかと思う方もいるかもしれません。
現代文の記述式問題は、これらの大問とは別、つまり200点の外で計算されるようになっています。
こうすることで、大学によっては「共通テストの記述式部分を合否判定に使わない」という判断ができるわけです。実際多くの国立大学では共通テスト国語の記述部分を合否判断に含めないという方針が固まりつつあります(2019年11月29日現在)。
共通テストではその記述式が「第1問」として扱われます。これについては以下の記事が詳しいのでこちらに任せます。
記述とはいえ文章はとても平易なもので、解答がばらけないようヒントもだいぶガッツリ書かれているので、正直そこのコツを掴めばしっかり点が取れるはずです。
それ以外の大問では、大問番号がそれぞれ1つずつずれ、評論が第1問→第2問、小説(詩)が第2問→第3問、古文が第3問→第4問、漢文が第4問→第5問というふうにそれぞれ変更になります。
これらの設問の内容で大きく変わるのは主に以下の2点。
- 評論に「法律の条文」「掲示物の読解」なども含まれるようになる
- 小説が「詩歌」も含む問題形式になる
- 各設問に「生徒のやりとり」などが含まれるようになる
いずれの変更も、より実用面や多様な言語の使用を想定しているものと言えます。
評論については、条文や掲示物に加えて短めの説明文を読み取っていく必要があるため、今まで以上に「書いてあることを正確に読み取る」ことが求められます。さらに、根拠の箇所も多くの出典に散らばるため、ここを上手に処理していかないといけません。ただし、その分具体的な説明や「これに当てはまる例はどれか」のような問題が増えるため、いままでの単純な読解よりは難易度自体は落ちるでしょう。
小説がやっかいなところで、今までのような小説であれば評論と同じような読み方を基本的にしていけば点が取れたのですが、詩やエッセイなどから幅広く読み取ることが求められるようになるので、より詩の解釈や表現技法について知っておく必要があります。「本文に書いてあることだけを正確に読み取る」ことには変わりないのですが、より「書いてあることを表現技法に照らし合わせて解釈する」能力まで細かく求められます。
古文・漢文は大きく変わりませんが、今までになかった「漢文が示す故事成語」を問うたり、文章の解釈を生徒同士がしてその空欄を埋めたりする問題が出ています。
生徒の会話を埋める、という形式はなかなか解き慣れないものですが、結局生徒が話しているのはいままで設問で「どういうことか」などと問われていた内容なので、きちんと読み取れればむしろヒントになりえます。
対策
基本的に聞かれていることはやはり変わらないので、現行のセンター試験の対策をベースにしていきます。
その際、点数が上がりやすい古文・漢文をまず着実に押さえるようにするのがポイントです。
ある程度センター試験までの対策ができれば、10〜11月頃から問題形式に慣れていくことが重要になります。こちらも予想問題集などを活用しながら対策していきます。特に小説や評論・実用的な文章の読解はなかなか慣れていないことが多いため、綿密に対策していきましょう。
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