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受験生の論理的思考力や文章力など、応用力が問われる小論文試験。近年では、学力試験に加えて、小論文試験や面接試験の重要度が高まっています。難関とされる医学部入試において、小論文は単なる文章力だけでなく、皆さんの人間性や医師としての適性を測る重要な要素となるでしょう。
本記事では、医学部の小論文で頻出するテーマから、採点官の心に響く文章を作成するための具体的な方法まで、余すことなく解説します。本記事を読めば小論文に対する漠然とした不安が解消され、自信を持って試験に臨めるようになるでしょう。
なお、面接対策については、以下の記事で解説しています。
医学部受験における小論文試験の重要性

医学部受験において小論文試験は、学力の高さを問うだけではありません。小論文試験は、受験生が医師として備えるべき多面的な能力を測るうえで重要な試験であり、合否を左右するでしょう。
現代の医療現場では、高度な専門知識に加え、患者やその家族とのコミュニケーション能力、倫理観、そして論理的思考力が求められています。小論文は、これら座学だけでは測れない「非認知能力」を評価するための有効な手段です。
小論文試験の対策を実施する際は、単なる文章作成ではなく、提起された問題に対する考察や多角的な視点、そして自身の倫理観をアピールしてください。自分の医師としての将来像を具体的に描き、それを論理的に表現できるように訓練しましょう。
医学部受験における小論文試験の概要と頻出テーマ
医学部の小論文試験は、受験生の論理的思考力、表現力、そして医師としての倫理観を総合的に評価するために設定されています。試験の形式や出題テーマは多岐にわたりますが、共通して求められるのは、深い洞察力と説得力のある論述です。ここからは、医学部受験における小論文試験の概要と頻出テーマを紹介します。
小論文試験の概要
小論文試験は、学科試験とは異なり、単なる知識の有無を問うものではなく、受験生の思考力、表現力、そして多角的な視点から物事を捉える能力を総合的に評価することを目的としています。
具体的には、試験時間は60分程度、文字数は600字から800字程度と設定されていることが多く、与えられた課題文や資料を読み解き、それに対する自分の意見を論理的に展開する形式が一般的です。論理的な構成力、文章の表現力、課題に対する深い理解、そして自身の医療倫理観や医師としての資質を明確に示せているかが評価のポイントとなるでしょう。
医学部の小論文試験における頻出テーマ
医学部の小論文試験では、現代社会が直面する医療課題や、医師としての倫理観が問われるテーマが出題されます。主なテーマは以下のとおりです。
出題テーマ | 内容 |
---|---|
医療倫理と生命倫理 | 安楽死・尊厳死、臓器移植、出生前診断、遺伝子編集、再生医療など、生命の尊厳に関わる問題など |
地域医療と医療格差 | 医師不足、へき地医療の課題、都市部と地方の医療格差、医療アクセス改善策など |
高齢化社会と医療 | 認知症医療、終末期医療、多死社会における医療のあり方、介護との連携など |
科学技術の進歩と医療 | AIの医療応用、ビッグデータ活用、遠隔医療、情報セキュリティなど |
チーム医療の在り方 | 多職種連携、医療におけるコミュニケーションの重要性など。 |
これらの頻出テーマを事前に把握し、自分なりの考えをまとめておいてください。考えをまとめる際は、ニュースや新聞、専門書などに触れ、有識者の意見を頭に入れておきましょう。

過去の医学部入試での出題傾向

医学部の小論文試験の出題形式は、大学によってさまざまですが、いくつかのパターンに分類できます。これらのパターンを理解し、出題形式に応じた対策を講じましょう。医学部受験における小論文問題は、以下の3パターンに分類できます。
- 課題文提示型
- 資料提示型
- テーマ提示型
以下でそれぞれのパターンについて詳しく解説します。
パターン1:課題文提示型
課題文提示型は、代表的な論述形式の一つです。このタイプの問題では、正確な読解力と、それに対する論理的な考察力、そして自身の意見を明確に表現する能力が問われるでしょう。
具体的には、新聞の社説、専門家の寄稿、学術論文の一部、あるいは小説の一節などが課題文として提示され、その内容を要約し、自身の意見を述べることが求められます。意見をまとめる際は、記事の内容に対する賛否や、記事から派生する問題点、あるいは自分自身の医療観と結びつけた展開が必要です。
パターン2:資料提示型
資料提示型は、グラフや統計データなどの資料が提示され、それらを分析して論じる形式を指します。この形式では、情報分析力と統計的な思考力、そしてそれらのデータを基に論理的な結論を導き出す能力が必要です。
具体的には、医療費の推移を示すデータ、特定の医療行為に対する国民の意識調査データなどが与えられます。受験生は、これらの資料から読み取れる傾向や特徴を正確に把握したうえで、その背景にある社会的な要因や医療的な問題を考察し、今後の医療政策や医師としての役割にどう結びつけるかを論じます。
資料から得られる情報を客観的に分析し、それに基づいて自分の意見を論理的に構築できるかどうかが、成功の鍵となるでしょう。
パターン3:テーマ提示型
テーマ提示型は、特定の課題文や資料が与えられず「チーム医療の重要性」「医師に求められる資質とは」といった抽象的なテーマが提示され、それについて自由に論じる形式です。
このパターンでは、受験生の知識の幅と深さ、論理的思考力、そして独自の視点や洞察力が総合的に試されます。文章作成の際は、反対意見や異なる見解も考慮したうえで、自分の結論を導き出し論述に深みと説得力を持たせましょう。
この形式は自由度が高い分、準備不足だと論点がぼやけたり、表面的な内容になったりしてしまいます。日ごろから医療に関する情報を収集し、社会問題に対して自分なりの見解を持つ習慣をつけましょう。

読み手に好印象を抱かせる小論文を作るコツ
小論文は、単に自分の考えを書き連ねるだけでは、採点者の心には響きません。論理的で説得力があり、かつ個性や人間性が感じられる文章を作成するための具体的なコツを習得することが、高得点への近道です。
キーワードを抽出し課題文を要約する
論点を見失わず、効果的な論述を展開するために、与えられた課題文を正確に理解しましょう。具体的な流れとして、課題文全体を丁寧に読み込み、筆者の主張や問題提起のポイントを把握します。
次に、その主張を構成するうえで重要な「キーワード」や「キーフレーズ」を特定しましょう。キーワードが抽出できたら、次は文章を要約します。要約の段階では、文章全体を200字程度にまとめる練習が効果的です。このように、要約とキーワード抽出を丁寧に行えば、文章に一貫性を持たせられるため、採点者に好印象を与えられるでしょう。
アウトラインを作成する
小論文を書き始める際は、必ずアウトライン(骨子)を作成しましょう。アウトラインの作成は、論理的な破綻を防ぎ、限られた時間内で一貫性のある文章を書き上げるのに効果的です。
具体的には、小論文の基本的な構成である「序論」「本論」「結論」の三部構成を意識し、それぞれのパートで何を述べるかを箇条書きで明確にします。記載のポイントは以下のとおりです。
- 序論(導入):課題提起、問題意識の表明、自分の主張(結論)を簡潔に述べる。
- 本論(展開):自分の主張を裏付ける理由や具体例を複数提示し、詳細に論じる。必要であれば、反対意見に対する反論や、多角的な視点も加える。
- 結論(まとめ):序論で述べた主張を再度強調し、本論で展開した議論をまとめ、将来への展望や提言で締めくくる。
アウトラインを明確にすれば、文章全体の流れが可視化され、論理的な整合性を保ちやすくなります。
論述のポイントを整理する
小論文では、ただ意見を述べるだけでなく、その意見を裏付ける論理的な根拠を明確に提示する必要があります。説得力のある小論文を作成するために、自分の主張のポイントを整理し、客観的な事実や具体例を用いて補強することを意識しましょう。
具体的には、自分の主張(Point)を明確にし、その理由(Reason)を述べ、さらにそれを裏付ける具体的な事例やデータ、エピソード(Example)を提示する、いわゆるPREP法を意識してください。誰が読んでもわかりやすいようにしっかりと論点を整理し、論理的に記述しましょう。
必ず添削を実施する
小論文の練習を実施した際は、必ず第三者から添削を受けるようにしてください。自分で作成した文章を読んでいるだけでは、論理の飛躍や矛盾、表現の不適切さ、誤字脱字といった欠陥に気づきにくいです。文章の添削による指摘には、文章力を向上させるためのエッセンスが満載です。
プロの文書にふれる
小論文の作成能力を向上させるために、良質な文章にふれてください。プロの書いた論理的で説得力のある文章には、論理の展開方法、説得力のある表現、適切な語彙の使用法など、文章作成のコツが満載です。
暮らしのなかに文章はあふれているので、気に入った表現がないかを注視してみてください。プロの文章にたくさんふれて、自分のレパートリーを増やすことを意識してみましょう。また、小論文対策の際は、以下の参考書がおすすめです。
- 医学部の実戦小論文[3訂版](赤本メディカルシリーズ[2022年改訂版])
- 医系小論文入試頻出17テーマこれからの医療をめぐる論点(駿台受験シリーズ)
- 私立大学医学部小論文入試問題模範文例集(2025年度)
これらの参考書を用いることで、多様なプロの文章にふれ、表現やアウトライン作成のコツをつかめるでしょう。参考書選びに迷っている方は、ぜひチェックしてください。
小論文試験対策の注意点
小論文試験の対策において、効果的な対策を講じるために以下の注意点を押さえておきましょう。
- 情報収集と考察を怠らないこと
- 自分なりの見解を示すこと
- 誤字脱字、表現の正確性には細心の注意を払うこと
- 時間配分を意識した練習を徹底すること
- 医療倫理に対する自身の姿勢を明確にすること
医学部の小論文試験は、皆さんの「医師としての適性」を深く探るために実施されます。付け焼き刃の知識や表面的な対策では、高得点の獲得は困難でしょう。単なる知識の羅列ではなく、医療問題に対する深い洞察力、論理的思考力、倫理観、そして自身の意見をわかりやすく表現してください。
まとめ
医学部受験における小論文試験は、単に文章力を試す場ではなく、皆さんの人間性、倫理観、そして医師としての資質を総合的に評価するための重要な機会です。本記事では、小論文試験の重要性から、頻出テーマ、出題傾向、そして高評価を得るための具体的な作成コツまでを解説しました。
医学部合格への道は決して簡単ではありませんが、小論文対策を通して培われる論理的思考力、表現力、そして倫理観は、皆さんの将来において、必ずや大きな財産となるはずです。本記事で得た知識とコツを活かし、自信を持って医学部合格をつかみ取ってください。
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