理系の大学受験では範囲の広い科目が必要です。そのため必然的にやるべき勉強量も増え、早めに受験に対する意識を持たなければなりません。
しかも理系大学受験で必要なのは、社会のような暗記メインではなく、数学のように「知識を応用させて問題を解く」という科目がほとんど。
そのため、志望校合格に必要な勉強だけにピンポイントで取り組まないと本番までに間に合いません。
それでは、必要な勉強だけに取り組むためには何が必要なのでしょうか?それは「現状学力の把握」です。
受験の目的は、「現状の学力を志望校が求めるレベルにまで引き上げて合格する」ということ。
つまり、現状の学力と求められている学力のギャップを埋めるために勉強する必要があります。
そのためには、まず自分の現在の学力を正確に把握しておきましょう。そうすることで、ギャップを埋めるために具体的にやるべき勉強内容が見えてきます。
ただでさえ範囲が広い理系大学を受験する上では、やるべき勉強内容を可視化することが非常に大切です。
限られた時間を最大限活用するためにも、必ず現在の学力を把握し自分おやるべきことを明確にしておきましょう。
理系の大学に向けた受験勉強で押さえるべきポイント
理系の大学受験に向けた勉強に取り組む上で押さえるべきポイントは以下の3つです。
ポイント1:数学は最優先で取り組もう!
理系の大学受験においては「数学」が最優先で取り組むべき科目です。なぜなら理系の大学受験において数学を使わないということは無いからです。
私立理系の場合は基本的に「IA・IIB」、学部によっては「III」も必要になるため広範囲に渡る勉強が必要になります。
国公立理系に関しては、共通テストで数学が必要なのはもちろん、個別の二次試験では「IA・IIB・III」の全範囲が必要です。
ここで「出題範囲で言えば社会もかなり広いのでは?」と思う方もいるでしょう。
しかし、社会と異なり数学は「暗記をすればなんとかなる」という科目ではありません。問題演習を繰り返し、公式や定理を応用させられるようになる必要があります。
つまり、
数学受験が必須+範囲が広大+暗記だけでは対応できない
という条件が揃っているため、まず最優先で取り組まなければならないのです。
ポイント2:理科は学校の授業進度がギリギリなので予習必須!
上記の数学だけでなく理科も忘れてはいけません。
理科は基本的に暗記科目です。また、発展問題といっても教科書の内容には準拠しているため「授業と並行して暗記をすれば間に合うかも?」と考える方もいるでしょう。
しかし文系の社会科目と同様に理科も範囲が広いため、授業で全範囲に触れるのが試験本番直前になることが多いです。
そのため授業メインに勉強していたのでは間に合いません。特に試験直前は数学の演習も繰り返したい時期です。
全ての授業が終わってから理科の問題集に取り組むというような進め方では対応できないでしょう。
そうした事態を防ぐためにも、理科は必ず予習をしておき前倒しで勉強を進めていきましょう!
ポイント3:理系の大学受験はとにかく広範囲!早めに勉強を始めよう!
このように、理系の大学受験においては「数学と理科」という範囲が広い科目を同時並行で進めなければなりません。
ここに加えて英語も必要なため、できる限り受験勉強を前倒しで進めることが必須です。
理系の大学受験に向けた勉強のための年間計画例
それでは、理系の大学受験に向けて必要な年間計画の例をご紹介します!今回は「慶應大学薬学部」に合格した方の計画を例に取り上げます。
高1の間に最低でも勉強習慣だけでも身につけておこう!
理系の大学受験では、「数学・英語・理科」という広範囲の勉強が必要な科目がずらりと並びます。
そのため、高1の時点で各科目の基礎だけでも勉強し始めておくと良いでしょう。
しかし部活があったり時期的にまだなかなか実感が湧かない方も多いかと思います。その場合は、まず勉強習慣を身につけておくことを目標にすると良いでしょう。
3年生になり受験勉強を始めようとしても、これまで勉強習慣がほとんど無かった方がいきなり1日8時間程度集中できるかと言われるとかなり厳しいです。
だからと言って各科目の勉強範囲が広い理系大学を受験しようと思ったら、まとまった学習時間は必須。
そのため、受験生になってからすぐ切り替えられるよう徐々に勉強習慣だけでも身につけておきましょう。
高2夏は基礎事項を固めておくチャンス!
夏の期間、特に夏休みはまとまった勉強時間を確保できるチャンスです。そのため高2の夏休みでは基礎を固めておきましょう。
理系大学の受験科目は各科目の範囲が広い暗記知識だけでは対応できません。
数学や英語は暗記知識を基に読解問題や計算問題に取り組まなければなりませんし、理科に関しても「なぜこのような結果になるのか?」といった背景まで考察する力が要求されます。
それを考えると、問題を解く土台となる知識系は受験生になる前に終わらせておいた方が良いでしょう。
今回の受験生の方は自分なりに勉強してはいましたがなかなか成績が上がらず悩んでいました。そこで本格的に計画を立てて勉強に取り組み始めたのが高2の9月。
受験生になる前に始めたので早い方ではありますが、それでも各科目の量を考え「元々得意だった英語の勉強時間を削りそれを苦手な数学に充てる」という計画になりました。
このように英語が得意だったため見事乗り越えられましたが、もしそうした科目が無ければ勉強はさらに大変になっていたかもしれません。
そのため科目の範囲が広い理系大学を受験する場合は、とにかく早い時期から勉強習慣をつけておき、可能ならこの時期からがっつり基礎に取り組んでおくと良いでしょう。
高2秋は教科書レベルの問題の問題を固めておこう!
秋からは再び学校が始まります。授業があると1日勉強できる時間はまた限られてしまうため、身につけた勉強習慣を基に上手に隙間時間で学習しましょう。
高2秋からは、基礎も含めて教科書レベルの問題は解けるようにしておくのがベスト。
特に数学は暗記科目ではないため、志望校レベルの問題を解く前にまずは教科書レベルの問題に触れておく必要があります。
今回の受験生の方は志望校が慶應大学のため、受験生になってから志望校レベルの問題に取り組んでも苦戦する可能性が高いです。
そのためこの時期に基礎〜教科書レベルの問題には慣れておくと良いでしょう。
高2冬は教科書レベルを固めることに集中できるラストチャンス!
高3になればいよいよ受験生です。その時期になると志望校を見据えた実践に割く時間が増えるため、なかなか基礎や教科書レベルを立ち返る暇がありません。
そのため、学年が変わる前にこの辺りの問題はできるだけ対応できるようにしておきましょう。
特に英語や理科と比べて、数学は暗記よりも手を動かす量が多いです。
それだけ勉強にも時間がかかるので一定レベルの問題には対応できるようにしておくとあとが楽になります。
高3春からは志望校レベルの問題演習に取り組んでいこう!
学年が変わったら、教科書レベルよりも上の勉強に取り組みます。文系であればこの時期でも多少基礎固めをする余裕はあるでしょう。
しかし理系大学受験の場合は範囲も広く単純な暗記では通用しないため、志望校レベルの問題に前倒しで取り組む事が大切です。
今回の受験生の方も、高3春の段階で「スタディサプリ高3ハイレベル数学1A2B」という応用レベルに取り組んでいました。
繰り返しになりますが、理系大学の受験は範囲が広く暗記だけでは対応できません。
「演習に取り組むのは夏休みでいいかな」と考えずに、どんどん前倒しで勉強に取り組みましょう。
高3夏からはさらに応用的な問題に取り組もう!
長期休みがある夏は、さらにレベルを上げた演習に取り組みます。今回の受験生の方が夏に取り組んでいたのが、
- 数学→青チャート
- 化学→重要問題集
という問題集。
いずれも「基礎が身についているのは大前提としてさら上のレベルを目指したい受験生」に向けて作られたものです。
理系大学を受験する上では、このレベルの問題を繰り返し演習する事で志望校レベルにグッと近づく事ができます。
そのためこの長期休みに応用の実践ができるよう、教科書レベルの問題は前倒しで終わらせておくと良いでしょう。
高3秋からは理科系科目に時間を費やそう!
この時期からは、数学の演習に取り組みつつ徐々に時間の比重を理科系科目に移していきましょう。
先述の通り、理科系科目は授業で全ての範囲が終わるのが試験ギリギリです。
そのため普段から予習を進めていくことは大前提として、全範囲が終わるくらいのタイミングでガンガン演習を積んでいきましょう。
もちろん「そこまでは問題を解かなくていい」ということではありません。教科書の内容を日々予習しつつ、先述の「重要問題集」などで演習に取り組んでおきます。
高3直前期は過去問演習で総仕上げ!
理系大学受験でも、直前期は過去問演習で仕上げます。かなりの勉強量を積んでいると思うので、それをきちんとアウトプットできるかを確かめておきましょう。
過去問は本番同様の環境で取り組むのがベストです。具体的には、
- 本番同様の時間配分にする
- 部屋を整頓し教室と同じ雰囲気にする
ということを行うと良いでしょう。
まとめ
理系大学受験においては、範囲が広く暗記だけでは対応できない科目の勉強をする必要があります。
特に今回の方のように元々得意な科目がない場合はさらに苦戦するでしょう。
そのため基本的な考え方として、「理系大学を受験する場合はできる限り前倒しで勉強を始める」という意識を持っておくべきです。
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