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物理の学習では、公式の意味や導出方法を理解しただけでは、定期テストや模試で問題を解けるようになりません。
高得点を取るためには、問題演習を通じて「具体的な解き方(定石)」を理解し、しっかりと身につけることが必要不可欠です。
今回は、物理における定石理解・暗記の効果的な勉強法について詳しく解説いたします。
高校物理の学習の流れと暗記の重要性

物理は数学と同様に公式が多く存在するため、まずはそれらをしっかりと暗記することから始まります。効果的な物理学習の流れは以下の通りです
物理学習の4つのステップ
- 教科書レベルの公式・実験の理解
- 典型問題の解法理解・暗記
- 入試レベルの問題演習
- 過去問演習
ステップ1:教科書レベルの内容理解
まずは学校の授業や映像授業などを活用して、教科書レベルの内容をしっかりと理解しましょう。この段階では、公式の導出過程や、典型的な実験内容を正確に理解することが重要です。
ステップ2:典型問題の解法(定石)理解・暗記
教科書で理解した知識を「実際の問題でどのように使うのか?」という観点から学習するのが、定石理解・暗記の段階です。典型的な問題を実際に手を動かして解いて、典型的な解法(定石)を身につけることで、テストや模試で安定して高得点を取れるようになります。
ステップ3・4:応用力の養成
MARCH・関関同立以上の難関大学を目指す場合は、定石理解・暗記の後に入試レベルの問題集で演習を行い、最終的に過去問演習で仕上げを行うことが重要です。

なぜ物理では典型問題の解法(定石)理解と暗記が重要なのか?

物理では数学と同様に多くの公式が登場しますが、実際のテストや模試で「公式に数字を当てはめるだけで解ける」問題が出題されることは、ほとんどありません。
「公式をどこで、どのように使うか」が分かっていないと問題は解けないのです。
典型問題(定石)の存在
テストや模試では、公式を使って解く典型的な問題(定石)が存在します。
「この問題が出てきたら、この公式を使う」「この実験は、最終的にこれを求めるための実験だから、この手順で考えればいい」と、典型的な問題の解法を理解し、暗記しておけば、素早く問題を解くことができるわけですね。
そして、難しい入試レベルの問題も、基本的には、この定石の組み合わせで解くことができるようになっています。より応用の問題へ進むための準備として、定石の理解・暗記は必須です。
効果的でない学習方法
以下のような学習方法では、定石を理解して暗記することはできません。
- 教科書を読むだけの学習
- 授業を聞くだけの受動的な学習
- 問題集の解答を読むだけの学習
こういった「自分の手を動かさない」受け身な学習では身につかないんです。
バットの振り方を理論的に教えてもらっても、自分で素振り練習しないとバッティングが上手くならないのと同じです。
実際に自分の手で問題を解き、理解と暗記を同時に進めるようにしてください。とにかく問題演習を通して習得するのが重要です。
物理の定石理解・暗記におすすめの問題集

学校配布教材の活用
物理の定石理解・暗記には、学校で配られる以下の問題集がおすすめです。
- 『セミナー』
- 『リードα』
- 『ニューグローバル』
これらの問題集は分厚く、終わらせるのが大変に感じるかもしれませんが、定石はある程度の問題数を解かないと身につかないため、時間をかけてでも、しっかりと取り組むことが重要です。
個人購入可能な教材
学校で上記の問題集を使用していない場合は、個人で購入できる『エクセル物理』を使用することをおすすめします。
薄い問題集を使用する場合
「分厚い問題集が苦手」という場合は、以下の組み合わせでも学習可能です。
- 『物理のエッセンス』
- 『良問の風』
この2冊は比較的薄いため楽に進められますが、演習量は『セミナー』や『リードα』などより少ないため注意が必要です。

効果的な物理定石理解・暗記の勉強法

5つのステップで確実に身につける
ステップ1:時間を計りながら問題を解く
- 基本問題:大問1つあたり5分以内
- 発展問題:15分以内
- 1周目は2〜3分手が止まったら解説を読んでもOK
まずは時間を計りながら問題を解きましょう。ダラダラ解いていても、なかなか前に進まずモチベーションが下がってしまうだけです。
ステップ2:解説を丁寧に読む
- 正解した問題も必ず解説を読む
- 計算過程も読み飛ばさない
- 根拠があやふやでないか確認する
解説は丁寧に読み、ちゃんと理解することが大切です。「なんとなくこういうことかな?」というあやふやな理解で自分を無理やり納得させるのはやめてください。
ステップ3:間違えた問題を解き直す
- 解説を閉じて再度解く
- 計算まできちんと解けることを確認
- 解説の図を自力で描けるようにする
図を自力で描いたり、計算を自力で行ったりできるかどうか必ず確認してください。答えを読んで理解して終わりにならないことが大事です。
ステップ4:間違えた問題に印をつける
- 次回の学習で重点的に取り組むため
問題集は2周目、3周目と取り組むのが普通です。各周回ごとに印をつけておけば、次の周では間違えた問題だけに絞って学習ができます。
ステップ5:ステップ1に戻り2周目
- 2周目は1周目に間違えた問題のみ
- 3周目は2周目に間違えた問題のみ
- 少しずつ問題数を減らしていく
間違えた問題のみに減らして学習を進めれば、徐々に周回スピードが上がるので、苦手な問題に近い期間で何度も触れることになります。
苦手なものに触れる機会を増やせば、自然と苦手な問題も解けるようになっていきます。

物理問題演習の重要な注意点

1. 図をサボらずに描く
物理が苦手な学生の多くは、図を描くことを怠っています。解答に掲載されている図は、すべて自力で描けるようになるまで練習しましょう。
実際の入試では、大問1つあたり1つ程度しか図が提供されません。問題を解く過程で、状況は少しずつ変わっていくので、自力で何度も図を描き直さないと、本番で必要な式をイメージできない場合があります。
2. 計算を自力で行う
物理では「立式までできれば解けたも同然」と言われますが、それでも計算は必ず自力で行いましょう。
たとえば「数学で習った簡単な2次方程式の解の公式が、物理で出てきた際に使えない」というケースは非常に多く見られます。
数学ほどきれいに計算が進まないこともありますが、地道に計算練習を積まないと計算力は身につきません。
3. 基本問題から徐々にレベルアップ
『セミナー』などの問題集は問題数が多いため、途中で挫折しがちです。いきなりすべての問題を解く必要はありません。
- 1周目:基本例題&問題のみ
- 2周目:1周目で間違えた問題+発展例題&問題
- 3周目:2周目で間違えた問題+総合問題
このように周回ごとに少しずつレベルアップしていくことが重要です。最初から発展問題に取り組むと、解けずに挫折してしまうことも多いので注意してください。
物理や化学の発展問題の1周目は「半分以上解答を読んでいるだけ」という状態になることもよくありますが、諦めずに次の周回で必ず解けるようになることを目指して学習を続けましょう。
4. 周回ごとに問題数を減らす
前の周で正解した問題を再度解いても、学習効果は期待できません。2周目以降は理解が不十分だった問題のみにフォーカスし、効率的に学習時間を活用しながら前進していきましょう。
まとめ
物理の学習では、公式の意味や導出方法を理解した上で問題演習に取り組み、典型問題の解き方(定石)をしっかりと身につけることが最重要です。
定石を理解するためには、受動的な学習方法(教科書を読むだけ、授業を聞くだけ、解答を読むだけ)を避け、能動的に問題集に繰り返し取り組むことが必要です。
今回ご紹介した学習方法を実践することで、物理の成績向上を確実に実現できるでしょう。継続的な努力と正しい学習方法で、物理を得意科目にしていきましょう。
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