この記事では私立大学の文系学部への合格を目指す受験生やその保護者の方向けに、正しく勉強を進めるために必要な情報を解説します。
- 私立は国公立より楽って聞いたけど?
- 文系の方が私立より楽って聞いたけど?
こんな風に油断してしまって、大学受験に失敗する人は大勢います。
特に、今の実力よりも高いレベルの大学を目指す場合は、知っておかなければならないことがたくさんあるんです。
合格に必要な勉強内容・量を把握せずに勉強をすると、せっかく勉強してもなかなか成績が伸びないことが多いからですね。
たとえば、
- 大学受験の仕組み
- 大学ごとの偏差値・問題難易度の違い
- 大学ごとの出題傾向の違い
- 大学ごとの合格最低点の違い
などを自信を持って説明することができるでしょうか?
今回の記事では、文系の私立大学を受験するうえで知っておくべき仕組みや各大学の偏差値目安、オススメの受験方法などについて解説します!
大学受験の仕組み
私立文系大学受験に向けた勉強についてチェックする前に、大学受験の仕組みを簡単におさらいしておきましょう。
- 国公立大学:前期1校、中期1校、後期1校のみ受験可
- 私立大学:受験日程さえ被らなければ何校でも受験可
国公立大学では、前期1校、中期1校、後期1校の計3校までしか受験できないのに対して、私立大学では、受験の日付さえ被らなければ何校でも受験することができます。
また大学受験は高校受験と異なり、「文系or理系」「私立or国公立」かによって必要な勉強時間が異なります。その中でも、今回メインで紹介する「私立文系大学受験」は、必要な勉強時間が最も短くなる傾向にあります。
なぜなら私立大学の場合は、受験で必要になる科目が少ないからです。私立大学の大学受験で求められるのは一般的には「個別試験」のみ。
個別試験では、「英語」「国語」「社会1科目」の計3科目を課されるか、「英語」「国語」「数学」の3科目を課されるかのどちらかになることがほとんどです。
理系のように数学3と理科2つ必要となることはありませんし、国公立のように共通テストで全科目受験する必要もありません。
私立大学文系学部の難易度ランキング
私立大学の文系学部を主な大学群に分けて、偏差値の目安をまとめてみました。
一言で「私立大学」と言っても、かなりたくさんありますし、国公立大学と違って何校でも受験することができるので、同じ大学群で複数校受験する受験生が大勢います。
主な大学群 | 偏差値の目安 |
---|---|
早稲田・慶應義塾 | 65〜75 |
GMARCH(学習院・明治・青山学院・立教・中央・法政) | 60〜70 |
関関同立(関西大学・関西学院大学・同志社・立命館) | 55〜65 |
成成明学(成蹊大学・成城大学・明治学院大学) | 52〜62 |
日東駒専(日本大学・東洋大学・駒澤大学・専修大学) | 50〜60 |
産近甲龍(京都産業大学・近畿大学・甲南大学・龍谷大学) | 50〜55 |
「GMARCHで2校、成成明学で2校、日東駒専で1校」のように、滑り止めも含めて偏差値帯を分けて併願していくのが一般的です。受験校を選ぶ際に参考にしてみてください。
より詳細に自分の志望校の偏差値をチェックしたい方は「河合塾 | Kei-Net」をご覧ください。
私立文系のオススメは「数学受験 or 社会受験」のどっち?
文系の私立大学を受験する際に「数学受験と社会受験のどちらを活用したら良いのだろう?」と迷う方もいるでしょう。自分が使う受験科目を決めるためには、各受験方法の特徴を押さえることが大切です。
それでは具体的な特徴やオススメの科目について解説します!
「社会受験」がオススメ!数学受験と社会受験それぞれの特徴と合わせて理由を解説
もちろん本人の学力や得意分野などによっても異なりますが、文系の私立大学を受けるのであれば、よほど数学が得意でない限りは「社会受験」がオススメです!
というのも社会と数学を比べると、受験までに必要な勉強時間は社会の方がかなり短くなるからです。
少し入試に詳しい人であれば、
- 得点調整で数学は得点が上がって、社会は下がるから数学の方がいいんじゃない?
と思ったりすることもあるかもしれません。
得点調整とは受験生が選んだ科目間で発生する「問題の難易度による有利・不利の差」を解消するための措置のこと。
基本的に、数学受験は社会受験より入試本番の平均点が低くなりやすく、得点調整によってやや点数が上がります。一方で、社会は数学より平均点が高くなりやすく、得点調整でやや点数が下がります。そのため、点数が下がることを考慮し、入試で高得点が必要になります。
しかし「社会受験のほうが得点調整で点数が下がりやすい」という前提を踏まえても、社会は数学より勉強時間が短くて済むため、社会受験のほうがややオススメです。受験までに必要な合計勉強時間に何百時間もの差が生まれるため、よほど「数学が好き!社会が嫌い!」という場合でない限りは、社会受験を第一候補として考えましょう。
社会受験をするならどの科目がオススメ?
それでは具体的に、社会受験をするのであればどの科目を使うべきなのでしょうか?
基本的には「日本史」あるいは「世界史」を選択しましょう!日本史か世界史を選択して受験できない大学は少ないですが、地理などそれ以外の科目では受験できない大学や学部もあるためです。
もし日本史あるいは世界史以外を選ぶ場合は、最初に自分の志望大学で必要な科目をチェックしておきましょう。私立大学の場合は、滑り止めも含めて複数校を受験するケースが多いため、滑り止め候補も含めてチェックできるとグッドです。
ちなみに、日本史と世界史であれば、やや日本史のほうがオススメです。
世界史は同時代に世界各地で起こっている出来事を整理する必要があるため、勉強範囲が日本史より広がります。また、解くのが面倒な論述を出題されることもあるため、それが苦手な場合は、なるべく世界史は避けたほうが良いでしょう。
一方で日本史は、日本国内の出来事がメインのため歴史の流れを整理しやすいです。さらに世界史と異なり、面倒な論述問題を出題されにくい傾向にあります。
文系の私立大学合格にに向けた受験勉強で押さえるべきポイント
文系の私立大学合格を目指すうえで重要なポイントは以下の3つです。
- 英語で高得点が取れるとかなり有利!
- 社会科目は独学で予習が必要になることが多い!
- 苦手科目は1科目もない状態を目指そう!
英語で高得点が取れるとかなり有利!
私立文系の大学受験の場合、英語で高得点が取れるとかなり有利になります。その理由は次の2つ。
- 英語の配点がやや高めなことが多いから
- 英語に必要な勉強時間が他の科目よりも長いから
まず私立文系入試の各科目の配点は、英語:国語:社会=150:100:100のように「やや英語の配点が高め」に設定されていることがよくあります。入試ではもちとん配点の高い科目で高得点を取れる方が有利になるのは当たり前ですね。
さらに、国語と社会と比べると、受験までに必要な勉強時間は英語が最も長くなります。そのため、受験勉強が順調に進んでいないと、英語の得点がいつまでも上がらず、入試直前まで苦労することにあんるでしょう。
英語を早いうちからしっかり勉強して、模試でも順調に結果を出せていれば、安心して国語と社会にも時間を割けるようになります。
社会科目は独学で予習が必要になることが多い!
私立文系は科目数が少ないと言えど、学校の授業も試験直前期や高3の11月〜12月まで続くことがほとんど。そこから勉強を始めても必要な知識が身に付かないまま、入試当日を迎えることになってしまいます。
特に受験生にとって、夏休みは受験勉強の時間が十分取れるかなり重要な機会なので、夏休みにしっかり演習できるように、「夏休み前に全範囲習い終わっている状態」を目指すのがおすすめです。
映像授業などを使えば、学校の授業がなくても独学で予習を進められるので、高2以降は少しずつ自分で進めていきましょう!
苦手科目は1科目もない状態を目指そう!
私立大学文系は3科目しかないので、1科目でも苦手な科目があると、その分を他の2科目で取り返すのはかなり難しくなります。
たとえば合格最低点が7割であれば、どの科目も7割以上を目指すようにするのがおすすめです。5割しか取れない科目が1つでもあると、残り2科目は8割以上得点しなければならなくなるので、かなり大変です。
苦手科目を作らないように、科目全体のバランスを見ながら勉強内容と勉強時間をコントロールする必要があります。
私立大学文系に向けた勉強のための年間計画例
それでは私立大学文系合格に向けた年間勉強計画の例をご紹介しましょう。今回は明治大学に合格した学習塾STRUXの生徒さんの実例を基に、理想的な勉強計画について考えていきます。
この生徒さんは、高2の2月頃にSTRUXで年間計画を作り、そこから受験に向けて計画的に勉強を進めて明治大学に合格することができた生徒さんです。
高1~高2夏までのポイントは勉強習慣と基礎固め!
私立文系を目指す場合は、高3の春から受験勉強を始めても、何とか間に合う方が多いですが、それでも余裕を持って受験勉強を進めたいのであれば、高1~高2も最低限の勉強はしておきたい所。
ポイントは2つあります。
- 勉強習慣をつけること
- 英語、国語、(数学)の基礎を身につけること
まずは勉強習慣を確実につけておきましょう。1日1時間でも2時間でも構わないので、毎日ちゃんと勉強する習慣があることが重要です。
受験生になると、誰でも毎日10時間以上の勉強をすることが目標になりますが、急に10時間以上の勉強をできる人はいません。なので、高1高2のうちに少しずつ勉強時間を伸ばして、勉強すること自体に慣れておくのが重要です。
高1~高2の前半までは、英語と国語(特に古文漢文)が重要です。私立文系の場合は、この2つの文法や単語などがしっかり頭に入っていれば十分どこでも目指すことはできるでしょう。
数学に関しては、高2~高3になって学校のテストで困ることのないくらいには勉強しておきたい所。数学のテスト勉強のせいで、受験勉強が長期間止まってしまうのはかなりもったいないことです。
高2夏~高3夏までは基礎の復習+社会の予習
高2の夏くらいから高3の夏くらいで大事なのは2つ。
- 基礎事項を復習して完璧に習得すること
- 社会の予習を進めること
まずは、受験科目の基礎部分で抜けている分野を徹底して習得することが重要です。
こちら↑のSTRUXの生徒さんの例だと、高2の2月くらいから高3の夏前までで、以下のような内容をメインに進めています。
英語 | 英単語、英文法、語法、英文解釈 |
国語 | 古文文法、古文単語、易しめの古文読解 (※この生徒さんは入試で漢文は必要ない) |
社会(世界史) | 既習範囲の復習、未習範囲の予習 |
英語は長文読解に入る前に勉強すべき必須の内容「英単語」「英文法」「語法」「英文解釈」を進め、夏休み以降に長文の読解演習に集中できる状態を作る必要があります。
国語は、古文の基本を終え、少しずつ読解に。漢文が出題される場合も同じく、少しずつ読解に入っていきたい所です。現代文が苦手であれば、講義系の参考書を1冊、高3の夏休み前に終えておくのもいいでしょう。
そして社会は未習範囲を高3の夏休み前までで全て習い終えた状態を作ることを目標に進めましょう。これができるかどうかで、夏休みの演習量に差が出ます。
高3夏休み~高3の10月は参考書の仕上げシーズン!
高3の夏休みくらいからは最後の参考書に入っていきます。メインに学ぶことはこちらになります。
英語 | 長文読解、ランダム文法問題集 |
国語 | 古文読解、現代文読解 (※この生徒さんは入試で漢文は必要ない) |
社会(世界史) | 選択問題集、一問一答 |
英語や国語は読解問題をメインに進めていきます。英語の文法問題が出る大学を受けるのであれば、ランダムに文法語法問題が載っている参考書にもチャレンジしたい時期です。
社会は選択問題をメインに進めていき、一問一答などで知識を詰めていきます。
どちらも過去問を始める前のラストの追い込みの時期で、これ以降は過去問演習がメインになっていきます。
高3の11月以降は過去問演習をメインに進めよう!
高3の10月末くらいからは過去問演習をメインに進めたい時期です。私立文系だけを目指す場合は、共通テストの演習を本格的に進める必要はありませんが、その分、併願する大学が増えることが多いので、各大学の過去問を少しずつ進めてください。
偏差値が1番低い所から徐々に進めていき、各大学で合格最低点を超えられるかチェックしながら勉強しましょう!
自分で計画を立てるのが難しいときは?
私立大学文系受験は英語、国語、社会の3科目で受験できるため、理系や国公立と比べれば、必要な勉強時間は短いです。とはいえ、科目数が少ない分、1科目でも苦手な科目があると他で挽回の効かない受験とも言えます。
できるだけ早い時期から勉強を始め、高1高2のうちに勉強習慣と基礎学力が身に付いていれば、かなり有利に受験勉強を進められます。また、高3の夏休みまでに社会の未習範囲を全て勉強できれば、順調と考えていいでしょう。
早めに志望校を決めて、過去問の傾向にあった勉強を進められると、さらに合格が期待できますね。
勉強を始めるにあたって、
- 自分は各科目、何を使って勉強すればいいのか
- 毎日何時間くらい勉強すれば間に合うのか
など、受験生一人で考えたり、決めたりするのが難しい部分は、プロに頼って受験勉強のスタートから正しい方向に勉強を進めていくのもおすすめです。
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