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高認試験とは、「高校卒業程度の学力がある」と認定されるために必要な試験です。
不登校などの事情により高校を卒業できなかった(あるいは卒業が難しい)方が取得することで、大学受験資格を得ることができます。
ただ、これまで勉強から離れていた方も多いので、
- 自分でも受験できるだろうか?
- 難しい試験内容じゃないか心配
と不安な方もいるでしょう。
しかし実は、高認試験自体は決して難しくはありません。仕組み的にもほぼ確実に取得できる環境が整っています。
この記事では、高認試験の概要と必要な科目、ハードルが低い理由や具体的な勉強法について解説します!
高等学校卒業程度認定試験(高認)とは?
高等学校卒業程度認定試験(高認)とは、国が定める科目の試験を受験し合格することで、「高校卒業程度の学力がある」と正式に認可される制度のことです。
不登校や経済的理由など、さまざまな事情で高校を卒業できなかった(あるいは卒業が難しそうな)人物に対して高卒程度の学力があると認められるので、就職などにおける選択肢の幅が広がります。高認試験の合格者は、大学の受験資格も得られます。
受験資格は「16歳以上の、高校を卒業していない人」であれば誰でも可です。
ただし、仮に16歳や17歳で高認資格を取得しても、正式に高校卒業程度の学力があると認められるのは「18歳を超えてから」なので注意しましょう。
例えば大学受験を希望する場合、早めに高認資格を取得しても18歳を超えないと挑戦できません。
高認試験は、毎年「8月・11月」の2回にわたり開催されます。
高認試験で必要な科目
高卒認定試験では、以下の中から合計「8〜10科目」を選択して受験する必要があります。
教科 | 科目 | 要件 |
国語 | 国語 | 必修 |
数学 | 数学 | 必修 |
外国語 | 英語 | 必修 |
地理歴史 | 世界史A 世界史B 日本史A 日本史B 地理A 地理B | 世界史A or 世界史Bから1科目選択 + 日本史A or 日本史B or 地理A or 地理Bから1科目選択 |
公民 | 現代社会 倫理 政治・経済 | 現代社会1科目 あるいは 倫理、政治経済2科目 |
理科 | 科学と人間生活 物理基礎 化学基礎 生物基礎 地学基礎 | 科学と人間生活 + 残り4科目の中から1科目の合計2科目 あるいは 物理・科学・生物・地学の中から3科目 |
参考:高等学校卒業程度認定試験パンフレット
*令和6年度の試験から科目が変わるのでご注意ください。
1回の試験ですべての科目に合格する必要はありません。最終的に規定の科目数に合格していればOKです。
そのため、例えば「8月は◯◯科目・11月に△△科目を受けて全科目を網羅する」ということもできます。
具体的な科目の選び方のコツについては「高認試験でオススメの受験科目はどれ?合格に関わる科目選択のポイントを解説!」をチェックしてください!
受験費用
高認試験の受験費用は、利用する科目数に応じて異なります。すべて1回あたりの値段です。
- 7科目~10科目:8,500円
- 4科目~6科目:6,500円
- 1科目~3科目:4,500円
2022年高認試験の概要
2022年度高認試験の概要は以下の通りです。
第1回
案内配布開始 | 4月4日 |
出願期間 | 4月4日〜5月9日 *5月9日消印有効 |
試験日 | 8月4・5日 |
結果通知 | 8月30日発送予定 |
第2回
案内配布開始 | 7月19日 |
出願期間 | 7月19日〜9月13日 *5月9日消印有効 |
試験日 | 11月5・6日 |
結果通知 | 12月6日発送予定 |
参考:文部科学省公式サイト
高認試験のハードルが低いと言われる理由
高認試験のハードルが低いと言われる理由は以下の4つです。
- 一発ですべての試験に合格する必要はない
- 合格者に定員はない
- 高校で取得済みの科目は試験免除される可能性がある
- 規定の資格を取得していると試験が免除される
一発ですべての試験に合格する必要はない
高認試験は、最終的に8〜10科目合格すればOKです。そのため、複数回に分割して受験できます。
一度合格した科目は次回以降の試験で免除されるため、「一発合格しないといけない」というプレッシャーがありません。
不登校などで勉強から離れていた方にとって焦って勉強する必要がないため、精神的にも安定して受験できます。
合格者に定員はない
大学受験とは異なり、高認資格の毎年の取得人数に制限はありません。
最低合格ライン(推定40点前後)さえ超えていれば取得できるため、例えば「今年は受験生のレベルが高くて合格ハードルが上がった」ということもありません。
高校で取得済みの科目は試験免除される可能性がある
すでに高校で単位取得済みの科目があれば、高認試験の科目から免除されることもあります。
現在不登校の方でも、過去に単位取得した科目が有効活用できる制度です(単位制・学年制問わず)。
規定の資格を取得していると試験が免除される
下記で指定された資格を取得していると、特定科目の試験が免除されます。
対象の検定名および級数 | 試験免除対象科目 |
歴史能力検定:世界史1級、2級 | 世界史B |
歴史能力検定:日本史1級、2級 | 日本史B |
実用数学技能検定:1級、準1級、2級 | 数学 |
実用英語技能検定: 1級、準1級、2級、準2級 英語検定試験: 1級、2級 国際連合公用語英語検定試験: 特A級、A級、B級、C級 | 英語 |
参考:文部科学省
高認を受けるときの注意点
受験するハードルが低い高認試験ですが、注意点も存在します。
- 高認試験に合格しただけでは「最終学歴:高卒」にはならない
- 全科目をまんべんなく受験しなければならない
高認試験に合格しても「最終学歴:高卒」にはならない
残念ながら、高認試験に「合格しただけ」では正式な学歴としては扱われません。
高認試験は、あくまでも「高校卒業程度の学力を持っている」と認められるための資格です。
高認資格を活用して大学受験し卒業できれば大卒資格を得られますが、「高認資格を取得したが大学受験はしていない」という場合、最終学歴は中卒になるため注意しましょう。
ただし、履歴書には「高等学校卒業程度認定試験合格」と記載できるため、企業によっては高卒扱いしてくれる場合もあります。
全教科をまんべんなく受験しなければならない
高認試験では、文系・理系問わず、全教科8〜10科目を選んで受験する必要があります。
そのため、大学受験のために高認資格を取得したい人が「大学は文系志望だから理科の勉強はしない」などはできません。内容は基本的なものとはいえ、この点は注意しましょう。
高認試験を受験する方は、さまざまな事情で高校で勉強できなかったケースも多いです。
勉強から長らく離れていた方が、8〜10科目という大量の学習に取り組むのは大変かもしれません。
計画を立て、高認試験に間に合うようスケジューリングをして取り組みましょう。
高認試験に向けた勉強方法
高認試験科目は数が多いですが、レベル自体は「中学生〜高1程度」のため、コツコツ勉強すれば合格は十分可能です。
各科目で以下を意識しつつ勉強して、最終的に過去問演習を繰り返すことで点数を取れるようにしましょう。
*令和2年度第2回高認試験問題をもとに執筆しています。
参照:文部科学省
英語
高認試験では、単語・文法・発音に関する単体問題が出題されます。読解問題でも単語や文法知識は必須なので、確実に得点できるように押さえておきましょう。
長文読解は最後で1〜2題程度出題されます。まずは基礎である単語を、単語帳を3周程度繰り返して身につけ、試験が近くなったら演習問題に取り組める準備を整えておくことが重要です。
英語は大学受験においても最重要科目になります。大学受験の場合は長文読解を解くのがメインであるため、高認試験レベルの基礎事項は早めに自分で蓄積させておきましょう。
数学
基礎的な因数分解・確率・二次関数のグラフ・三角比・√の計算などが出題されます。
応用的な問題はほぼ出題されず、教科書の例題や章末問題クラスを解ければ十分対応できます。
教科書の基礎事項に目を通したら、例題クラスを何度も解いて慣れていきましょう。
高認試験は40点前後が合格ラインと言われているので、前半の基礎的な計算部分は落としたくないところです。
国語
1問目では、簡単な漢字の読みや基礎的な係受けに関する内容などが出題されます。
短文の読み取りも出題されますが、いずれも基本的な部分ばかりなので落とさないようにしましょう。
読解問題としては「クラスでの話し合いの読み取り」「小説の読み取り」がメインです。
共通テストでも、実生活を意識した読み取り問題が出題されるため、慣れておきましょう。
古文や漢文も出題されます。古典文章と漢文を1題ずつ読み取り、書き下し文や解釈を選ぶ問題などがメインです。古文単語や文法、漢文の句法はそれぞれ1冊参考書を完璧にすればOKです。
理科系科目
高認試験における理科系科目は以下の通りです。
- 科学と人間生活
- 物理基礎
- 化学基礎
- 生物基礎
- 地学基礎
理科系科目に苦手意識を持つ方も多いと思いますが、複雑な計算問題は出題されません。
例えば物理基礎であれば「km/hをm/sに変更する簡単な計算問題」、化学基礎であれば「正しい炎色反応の組み合わせを答える問題」などです。
教科書を読み込み、例題や章末問題クラスに取り組んでおきましょう。
社会系科目
高認試験における社会系科目は以下の通りです。
- 世界史
- 日本史
- 地理
- 現代社会
- 倫理
- 政治経済
社会系科目では、生徒や教師の対話など会話形式の問題を読み取ることが多いです。
穴埋め欄前後の文章にヒントが隠されていることもあるため、単語だけでなく関連する出来事なども合わせて暗記できれば落ち着いて回答できます。
高認試験の勉強法については「【高認対策】各科目の効率的な勉強方法をわかりやすく紹介!」でも詳しく解説しています!
卒業資格を得ることも検討しよう!
大学受験に必要な資格を得る方法として、高認資格以外に「卒業資格を取得する」という方法もあります。
卒業資格を得る条件は以下の3つです。
- 3年以上高校に在籍する
- 卒業までに74単位を取得する
- 卒業までに30時間以上の特別活動に参加する
卒業資格を得る方法として一般的なのは、「通っている高校を卒業する」です。
現在、不登校などの事情を抱えている方は無理をすべきではありません。
ただ、高校によっては保健室登校や課題提出などによって単位認定してもらえるケースがあります。
高認試験の受験には専用の勉強が必要なため、可能であれば保健室登校なども活用して卒業を目指すのもアリです。
高校に通う以外に卒業資格を得る方法
現在通っている高校を卒業するのは難しいが「卒業資格は取得したい」という場合は、通信制・定時制高校の利用も検討しましょう。
メリットとデメリットはそれぞれ以下の通りです。
メリット:
- 高校を卒業した場合と同じく正式な学歴として扱える
- 同じ境遇の人もいるので無理なく勉強できる
- 入学時に学力ではなく面接等でやる気や人柄を重視して合否判断してくれる場合もある
- 個人の状況に合わせて課題やレポート提出などで単位認定してもらえる
(通信制の場合)通学する必要がほとんどない
デメリット:
- 高認試験よりも資格取得までの期間は長い(3年以上必要。多くは3〜4年で卒業する)
- 自分で勉強習慣を身につける必要がある。とくに通信制の場合は学校に通わず自宅学習がメインとなるため、自力で卒業までに勉強習慣を身につけておかないと受験や課題等に対応できない。
高認試験のメリット・デメリットについては「高認(高等学校卒業程度認定試験)を取得するメリット・デメリットを解説!」でも詳しく解説しています!
まとめ
高認試験は、複数回の受験チャンスがある試験です。科目のレベル自体も、基礎内容を問うているためそこまで難しくありません。
資格があると試験が一部免除されたり、高認試験合格科目に該当する高校の単位取得が免除されたりもします。
大学受験を目指す人にとって心強い資格と言えるでしょう。
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