今回は1・2年生向けに「共通テスト」と「センター試験」の違いについて紹介します。
各科目ごとの傾向やどんな対策をすればいいのかをまとめたので、共通テスト対策の参考にしてみてくださいね。
センター試験VS共通テスト、どう違う?傾向と対策
まずは各科目ごとに「センター試験」と比較してどのように変わるのかを見ていきましょう。
なお、基本的にはすべて平成30年度試行調査および2021年度共通テストをもとに分析しています。
共通テスト:総合
まずは全体像ですが、現時点では大きく変わりません。
共通テストに記述式問題が出題される予定でしたが、文科省の判断で導入が見送りになりました。そのため、出題形式は従来のマーク式問題になります。
共通テスト:英語
おそらく一番大きく変わるのがこの「英語」の部分。
英語については第1問から大きく問題形式が変わるほか、リーディングとリスニングの配点比率も大きく変わってくるので注意が必要です。
配点・問題構成
筆記:200点→100点(リーディング)
リスニング:50点→100点
筆記が「リーディング」に名称が変わり、配点が半減します。今まであった文法問題や発音・アクセント問題は廃止され、読解問題のみになりました。
おそらく今までの長文問題を知っている人からすると、「長文は1問間違うだけで5点以上飛ぶからやだなあ……」なんて思う人もいると思います。
しかし共通テストになることで実際の1問あたりの点数は少し異なります。
長文全体で100点満点、かつ大問数は6つですべて長文やの読み取り問題になので、1問あたりの点数は3点前後に落ち着いています。
ただ、その分リスニングの配点が上がっているので注意が必要です。
リスニングはセンター試験であれば1問2点だったのが、1問あたり3点〜4点の配点になっています。
問題数はあまり変わらないのに配点が倍になっているため、今まで以上によりリスニングの対策をしておく必要があるのです。
リーディングの細かい問題構成は以下の通りです。
大問
センター(配点)
共通テスト(配点)
第1問
発音アクセント(14)
日常生活に関する読解(10)
第2問
文法(47)
表・資料読解(20)
第3問
文削除、会話文など(33)
エッセイ読解(15)
第4問
図解読解など(40)
メール文に関する読解(16)
第5問
小説・エッセイ読解(30)
エッセイ読解(15)
第6問
評論読解(36)
記事読解(24)
参考:【共通テスト英語】これさえ確認すれば安心!設問・レベルと解くコツ&勉強法を紹介!
どの大問も1問あたり1〜3点ずつになっています。今まであった評論や図表の読み取りが減少しており、会話文に関しては削除されています。
ただし評論を削ったのは、それをすべて「新聞記事」「雑誌記事」として扱っているからにすぎません。
そのため、評論がないからと言って「その手の難しい文章は出題されない」ということではないので注意しましょう。
参考:https://nyushi.sankei.com/kyotsutest/21/2nd/1/exam/1110-2.pdf
ただ、いままでのように「評論がパラグラフごとにしっかり分けられていて、根拠が拾いやすい状態にしてある」ということ無くなりました。
その分多少初見での難易度は上がっていると言えるでしょう。
細かいところまで読み込んで答える必要がある問題も増えています。
最後には「記事に見出しをつけるとしたらどれか」という、私立大でよく見られるような問題が追加されています。
また、問題文もほとんど英語で書かれているため注意が必要です。
リスニングの設問は大きく変わりませんが、大問によっては英文放送が1回のみになる問題もあるので、難易度が少し上がっています。
参考:「リスニング問題」の例
対策
文法や発音アクセントが出ない分、そこの個別対策は不要です。
しかし長文を読むために必要な能力は変わらず「単語・文法・解釈」であるので、そういった基本の部分から勉強を進めていきましょう。
参考:【共通テスト英語】これさえ確認すれば安心!設問・レベルと解くコツ&勉強法を紹介!
リスニングでやることも従来と変わりません。ただし配点が大きくなっている分、今までより早めに(具体的には高校3年生の夏ごろ)対策を進めましょう。
とはいえ、リスニングで流れる英文を正確に理解するには単語・文法・解釈の知識は必須なので、まずはそこをしっかり固めてください。
参考:英語リスニング勉強法|英語ができない人必見の勉強方法!
放送が1回のみになる設問もあるため、今まで以上に「先に設問を読む」「注意すべきキーワードを掴んでおく」などを徹底しましょう。
共通テスト:国語
記述式が大きく騒がれていたのが国語ですが、記述式問題の導入は見送られたために今までと大きくは変わりません。
記述式問題がなくなった影響で、試験時間も予定していた100分から80分(センター試験と同じ)に変更になりました。
配点・問題構成
配点は今まで通り大問4つ構成で各50点です。 国語に関してはすべての設問について、「複数の文章を読んだ上で答える」ということが増えています。
実際2021年度の共通テストでは、1つの文章だけではなくそれに関連した資料を読み取って解答する問題が出題されました。
評論については、本文だけでなく参考資料や図表が合わせて提示されることが多く、今まで以上に「書いてあることを正確に読み取る」ことが求められます。
さらに、根拠の箇所も多くの出典に散らばるため、ここを上手に処理していかないといけません。
ただし、その分具体的な説明や「これに当てはまる例はどれか」のような問題が増えるため、いままでの単純な読解より難易度自体は落ちると思われます。
引用:https://www.toshin.com/kyotsutest/data/135/kokugo.pdf
厄介なのは小説です。今までのような小説であれば、評論と同じような読み方を基本的にしていけば点が取れました。
しかし共通テストでは詩やエッセイなどから幅広く読み取ることが求められるようになるので、より詩の解釈や表現技法について知っておく必要があります。
「本文に書いてあることだけを正確に読み取る」ことには変わりないのですが、より「書いてあることを表現技法に照らし合わせて解釈する」能力まで細かく求められるというわけですね。
古文・漢文は大きく変わらないのですが、今までになかった「漢文が示す故事成語」を問うたり、文章の解釈を生徒同士が行いその空欄を埋めたりする問題が出ています。
生徒の会話を埋める、という形式はなかなか解き慣れないものかもしれません。
ですが、結局生徒が話しているのは今まで設問で「どういうことか」などと問われていた内容なので、きちんと読み取れればむしろヒントになります。
対策
基本的に聞かれていることはやはり変わらないので、現行のセンター試験の対策をベースにしていきます。
その際、点数が上がりやすい古文・漢文をまず着実に押さえるのがポイントです。
参考:【センター国語】解く順番と時間配分が鍵!8割も満点も狙える勉強法
ある程度センター試験までの対策ができたら、10〜11月頃から問題形式に慣れていくことが重要になります。
こちらも予想問題集などを活用しながら対策していきます。
特に小説や評論・実用的な文章の読解はなかなか慣れていないことが多いため、綿密に対策していきましょう。
共通テスト:数学
数学も記述式問題削減の影響を受けます。
大きく配点や問題構成が変わることはありません。しかし、「数学1・A」のみ試験時間が70分に増加します(センター試験では60分)。
配点・問題構成
今まで通り「数学1・A」では大問5つ構成。第1〜2問の配点は各30点、第3〜5問の配点は各20点となっています。
ちらりと解く感じだと、2019年度と比べて第2問の問題(データの分析以外)が少し増え難易度が上がっているようです。
さらに、第1問に今までの3ジャンル(集合と論証、計算、2次関数)だけでなく三角比の問題を追加して小問数増えています。
その分そちらは1つあたりの解答は簡単になっている印象です。
その分第2問でより総合的な問題(ぱっと見るだけでは、どの分野の問題か分かりづらいもの)をあげています。
細かい大問ベースだとこのように変わるのですが、もっと全体的な話をみると「今までのセンター試験に慣れていると、なかなか解きにくい問題」が多くなると考えて良いでしょう。
いままではただ計算して思考していく、いわゆる「青チャート」などに載っているような問題ばかりでした。それが急に
- 太郎さんと花子さんの会話の中でなされている証明の一部を埋める
- 実生活で使うものが確率や整数の問題にあてはめられており、それを解く
というような「問題の本質以外の部分」での脚色が増えているからです。
これらの脚色があると、「問題を解くために必要な知識」が問題ごとになかなか見極められなくなります。
そのため、脚色の中から「問題の本質」を見極める力が要求されてくるわけです。
ただ、あくまで知識自体は「実生活で使うもの」に紐付けようとすることがほとんど。
そのため、数値が簡単であったり、計算自体は基本的な問題であったりすることが多いです。
例えばプレテストでは「100本のくじの中から当たりくじを引く」ということを条件付き確率に落とし込んでいたり、「天秤に分銅を乗せる組み合わせ」を二元一次不定方程式にして解いたり、という感じですね。
そのためなおさら、
- この操作は何をしているのか?
- 普段やってる知識だとどういうことにあてはまるのか?
というのを常に考える必要が出てきます。
難しいので、こればかりは訓練が必要です。
数学2・Bも基本的な発想は同じ。
配点等は変わりませんが、第1問で単位円と三角関数のグラフの関係を問いたり、第2問で食品の脂質含有量について方程式・不等式を立式してx,yの存在領域を出したりと、複雑な内容が出題されます。
対策
基本的には今までより正確な理解を追求することと、予想問題・プレテストを解くことしかありません。
ただし、式や計算方法を覚えるだけでなく「こういう原理でこの計算になる」といった基本的な理解をする必要があります。
プレテストは当然解いてほしいのですが、残念なことにこの手の「実用をうまい感じに織り交ぜて作問する」というのは、問題を作る側にとってもハードルが高いんですね。
そのため、予備校講師や参考書著者が作ってみた問題だと、本番の傾向や難易度とかなり違ったりするという現象が起こりがちです。
もちろん共通テストを実施する大学入試センター自体は、優秀な教授陣がまる1年かけて作問するわけですから、その心配はありません。
こうした事情もあるので予想問題集などの正答率はあまり気にせず、今まで通り基本的な問題理解を重視して、復習の際に「この問題は青チャートだとこの部分で解ける」というように「範囲を見極める練習」をしてください。
共通テスト:社会
基本的な変化は数学と同様に大きく変わらず、生徒同士の会話形式で出題されたり、ディベートや新聞記事から歴史的事項を連想できるか、という問題が増えてきます。
配点・問題構成
大きな配点や構成は変わりません。傾向としては、資料問題や図表・地図を利用した問題が増えます。
つまり、今まで以上に
- 日本史の問題で資料から何のことを述べているか読み取り、その出来事について答える
- 地理でみたことのない資料・図表が出て、それについて答える
- 世界史で地理のようなデータをもとに答える問題が出るなど、資料の読み取りを意識した問題構成になっているのです。
入試改革における「思考力・読解力」の部分を強く見ようとした結果ではないかと思いますが、じゃあこれも「もっといろんな図表を覚えないといけないか」と言われると、必ずしもそうではありません。
対策
もちろん、今まで「地図なんてそんなに見ていないよ」という人は、ある程度細かく見ていく必要がありますし、今まで以上にいろいろな図表に目を通すことは重要になります。
ただ、だからといってすべてを覚えようとするのではなく、「なぜこのようなデータになるのか?」「この地図の時代はどういう時代だったか?」と、習った知識を紐付けていくことが非常に重要です。
ただ、こういった資料読み取りの問題が増えることで、試験時間が足りなくなるということは起こります。
時間配分を意識した演習は念の為しておくべきでしょう。
共通テスト:理科・理科基礎
理科・理科基礎についても基本的には数学と同じ傾向です。
生徒同士の会話や実際の現象を元にした問題が増え、実用とリンクした見極め力が求められます。
配点・問題構成
基本的な設問や問題構成はどの科目も大きく変わりません。
変わるのは「実用」「実生活での体験」をより重視していくこと。
例えば、物理ではいきなりお相撲さんが相撲を取ります。
このときの力を一つ一つ分解していくわけですね。
他に、化学では「カセットコンロ用ガスボンベの仕組み」が問われるなど、「身の回りのものの仕組みや動きの原理」が聞かれることになるわけです。
対策
対策としては、数学のように「きちんと原理を理解できているか」「実生活に当てはめながら理解ができているか」という視点が重要です。
そういった探究心のようなものもわずかに求めているような気はしますね。
ただしそればかりではないので、ただただ暗記に走るのではなく、きちんと理解をしながら問題を解けるようになっていくことが最重要になってきます。
まとめ
さて、この記事では共通テストで「変わること」をお伝えしていきました。意外とどの科目も似たような変化をしています。
共通テストの主な変更点をまとめました。
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英語の変化が大きい
英語は配点変化
- より「日常」「実用」が問題文で意識される
「ポスター読解」「ディベート」「法律の条文」「生徒同士の会話」など、実際の生活内で起こりうることをある程度加味しながら問題が作られているので、今までのようにストレートで聞かれる問題に慣れていると手こずるかもしれません。
- ベースの対策は変わらないが、傾向変化の対策は必要
今までの対策と大きく変わるのは「リスニングを早めに始める」くらい。あとは直前期に予想問題を解く中で「実用と理論の結びつき」を意識して解く事が重要。
ただ、まずは必要な基本の勉強から固めていき、高校3年生の11月頃にきちんと共通テスト演習を進められているようにペースを意識して行きましょう!
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