大学受験は、入試方式の数や必要科目数など多くの面で高校受験と違います。「なんとなくイメージだけはできている」という方もいらっしゃると思いますが、思ったよりも複雑で難しいのが大学受験の仕組み。
大学受験を乗り越えるには、高校受験との違いを把握して大学受験に備えることが重要です。
この記事では、大学受験で把握しておくべき入試制度の詳細や、高校受験との具体的な違いなどについて詳しく解説します!細かい所もいくつか出てくるので、「難しいな」と思った場合は、まず「一般選抜」について理解するつもりで読んでみてください!
大学受験における入試の仕組みは主に5パターン
大学受験における入試の仕組みは、主に以下の5パターンに分かれます。
国公立・私立共通 | 私立特有 |
---|---|
一般選抜 指定校推薦、公募推薦型選抜 総合型選抜 | 共通テスト利用入試 共通テスト併用入試 |
ひとつ目の分岐として国公立・私立の差を理解することが重要という点は押さえておきましょう。国公立・私立、いずれにも組み込まれているのは、以下の制度です。
- 一般選抜
- 指定校推薦、公募推薦型選抜
- 総合型選抜
最もオーソドックスな「一般選抜」については、この後詳しく解説します。
私立特有の入試の仕組みとしては以下が挙げられます。
- 共通テスト利用入試
- 共通テスト併用入試
さらに細かく「英語民間試験利用型入試」「帰国生選抜」「地域枠選抜」などもありますが、いきなり全てを覚える必要はありません。まずは利用機会が多い、「一般選抜・学校推薦型選抜・総合型選抜」について押さえればOKです。
その他の入試制度については条件が細かく絞られるため、自分の受験スタイルや志望校に応じてチェックしましょう。
主要なパターンの特徴を簡単に紹介!
まずは、上記で挙げた主要な仕組みの5パターンについて、簡単に解説します!
一般選抜(旧一般入試)
「一般選抜」は、大学受験で最もオーソドックスな入試方式です。共通テストや大学ごとの個別試験によって受験生の学力を計り、合否を決定します。
大学の募集人員全体に占める一般選抜の割合は、「私立で5割以上・国公立で8割」にもなり、ほとんどの合格者が一般選抜で決まります。学校推薦型選抜や総合型選抜は狭き門であることが多いため、基本的に「一般選抜で受験する」と考えておくべきです。
一般選抜で必要な試験科目数や範囲は、主に「国公立か私立か」によって大きく違うので、あらかじめ確認しておきましょう。詳しい科目等は後ほどご説明します。
私立大学 | 国公立大学 | |
---|---|---|
メインの入試方式 | 学部個別試験 | 共通テスト+個別試験 |
一般的な科目数 | 文理ともに3科目 | 共通テスト: 5教科7科目 個別試験: 2〜3科目 |
学校推薦型選抜(旧推薦入試)
「学校推薦型選抜」とは、高校の推薦を獲得した受験生だけが利用できる入試制度です。以下の項目における評価をもとに、受験生の人物像を判断して合否を決めます。
- 高校の内申点
- 部活動の成果
- 学生生活の態度
- 資格の有無
大学側が定める評定平均や資格の有無などをクリアしないと出願できません。学校推薦型選抜には、以下の2種類があります。
①指定校推薦
大学が指定する高校の生徒だけが出願できる。推薦を受ければほぼ確実に合格できるが、推薦枠は限られているため校内選考になることも多い
②公募推薦
大学からの出願要件を満たせば誰でも出願できる。学校の評定平均だけでなく、部活動の成績なども出願要件にできる
学校推薦型選抜では、合格した大学には必ず入学するのが原則です。
総合型選抜(旧AO入試)
「総合型選抜」とは、大学からの出願要件を満たせば誰でも出願できる選抜方式です。私立大学では、8割以上の大学が総合型選抜を取り入れています。
総合型選抜では、主に「大学が求める人物像に合っているか?」という面で合否を判定します。
大学によっては学力試験も課されますが、基本的には以下の中からいくつか組み合わせて選抜することが多いです。
- 書類審査
- 面接
- 小論文
- グループディスカッション
- 実技試験(体育、美術、音楽、建築の学科などで課される)
共通テスト利用入試
「共通テスト利用入試」では、共通テストの結果のみで大学の合否が決定します。出願数の制限はなく、同じ大学であっても学部・学科が異なれば複数出願できます。
共通テストで高い点数を獲得できれば大学の個別試験を受ける必要がないため、時間も費用も節約できるでしょう。
ただし、共通テスト利用入試で求められるハードルは、大学の個別試験よりも高い傾向にあります。そのため「共通テスト利用入試に関しては一つも合格できなかった」というケースも珍しくありません。
共通テスト利用入試のみに照準を当てて、個別試験の勉強を後回しにすると失敗する可能性が高いので気をつけましょう。
共通テスト併用入試
「共通テスト併用入試」では、共通テストと個別試験の結果を合計して合否を決定します。私立大の入試形式ですが、ほぼ国公立大学の一般入試と同じような形式になっていることもありますね。
中には、共通テストと個別試験のいずれか高得点のほうを合否判定に利用するケースもあります。
共通テストの結果が悪くても、個別試験で巻き返せる可能性がある点は魅力的です。こちらも出願数の制限はありません。
大学入試の一般選抜の入試制度とは?共通テストって何?国公立・私立の違いと仕組みを紹介
上記5つの仕組みに加えて、一般選抜についてはより詳しく押さえておきましょう。一般選抜は以下の4点を把握しておくことが重要です。
- 国公立大学と私立大学の違い
- 共通テストとは?
- 私立大学の入試制度
- 国公立大学の入試制度
国公立大学と私立大学の違い
大学受験をする上で、国公立と私立の違いを把握することは重要です。
国公立と私立では、受験で使う科目数や入試制度、4年間の学費などが大きく違います。例えば入試制度についていえば、国公立が「共通テスト+個別試験」の2段階であるのに対し、私立は「学部個別方式」がメインです。国公立を目指すのであれば、私立よりも多くの科目を押さえることが必要だとわかります。
ネームバリューや偏差値だけで選んでしまうと、「この科目も勉強しないといけないのか!」と後悔することもあるので、事前に違いを把握しておきましょう。
共通テストとは?
大学受験で必ず聞く「大学入学共通テスト」とは、2020年度入試まで実施されたセンター試験の後継にあたる試験のことです。日程はセンター試験と同じく、1月2〜3週目の土日に行われます。
国公立志望の受験生は、原則として以下の流れでの受験が必須です。
一次試験:共通テスト→二次試験:大学ごとの個別試験
共通テストと個別試験の合計点で合否が決まるのですが、試験の配点比率は大学ごとに異なります。
一方で私立にも「共通テスト利用入試」があります。この形式は、以下の2パターンに分かれます。
- 単独型:共通テストのみで合否が決まる
- 併用型:共通テスト+個別試験の合計点で合否が決まる or 点数の良い方を合否に使う
単独型は1回の出願で何校でも出願可能であり、同じ大学の学部・学科に関しても制限がありません。成績上位なら個別試験を受けずに合否が決まるのが魅力です。
ただし、3科目で受験する場合は個別試験よりも定員が少なく合格ラインが高いため、成績に自信がないと合格は厳しいです。大学によっては4科目以上で受験できることがあり、こちらは受験者も限られるため国公立大学の併願として活用しやすくなっています。
併用型は「共通テストと個別試験」両方の合計点で合否を決めたり、良い点数の試験を活用できたりします。そのため、どちらかの点数が悪くても挽回のチャンスがあります。
ただし大学によっては、評価対象科目が限定されるため、自分の得意科目を活かせるかどうかの確認は必須です。
私立大学の入試制度
私立大学の一般選抜は「学部個別入試」による3科目受験が一般的です。文理それぞれで以下の科目を受験します。
- 文系:「英語」「国語」「地歴・公民・数学から1科目」
- 理系:「英語」「数学」「理科1科目~2科目」
大学によっては1〜2科目で受験できるところもありますが、科目の負担が少ない分、倍率も上がるため要注意です。
学部個別試験以外には、以下の入試制度を利用できます。
国公立大学の入試制度
国公立の一般選抜制度は「共通テスト+個別試験」の1種類のみです。学校推薦型選抜や総合型選抜もありますが、合格者数全体のうち8割は「共通テスト+個別試験」による一般選抜で決まります。
多くの大学では、受験の際に以下の科目数が必要です。
- 共通テスト:5教科7科目
- 個別試験:2〜3科目
個別試験は、前期・中期・後期の3回分が設定されていますが、ほとんどの大学が「前期募集」で合格者を決めます。中期・後期は廃止や縮小傾向にあるため、実質前期募集のみの一発勝負です。
高校受験と大学受験の違い
このように、大学受験は高校受験よりも制度や必要科目数が複雑です。しっかり把握しておかなければ、自分の志望校受験に必要な準備に取り組めないこともあり得ます。
それでは、これ以外にも高校受験とどのような面で違いがあるのでしょうか?主な違いは以下の通りです。
- 大学受験では勉強量が増える
- 大学受験では文理で利用科目が異なる
- 大学受験では「入試情報を得ているか?」が重要
- 大学受験は偏差値の見方が重要
大学受験では勉強量が増える
大学受験は、高校受験よりも勉強量が圧倒的に多いです。大学受験と高校受験では、以下のように受験で必要な科目数が異なります。
大学受験 | 高校受験 |
---|---|
国公立:共通テスト5教科7科目+個別試験2〜3科目 | 公立:5科目 |
私立:3科目 | 私立:3科目 |
国公立の場合、「共通テストと個別試験」で2回の受験が必要です。共通テストでは文系受験でも数学が必要ですし、理系受験でも国語が必要なため「文系だから苦手な理科は必要ない!」などは通用しません。
しかも大学によっては、共通テストの点数が基準値を超えなければ個別試験に進めないため、両方の試験に力を入れる必要があります。
科目数だけで見れば大学受験と高校受験とでは、それほど変化があるようには見えません。特に私立大学では科目数だけ見れば同じになっていますよね。
しかし、国公立・私立いずれであっても1科目ごとの内容量が高校受験よりも増えます。大まかには、高校受験の5科目分で大学受験の1科目分に対応するイメージを持っておくといいでしょう。
さらに理科・社会や数学に関しては、高校入試と同じく授業で全範囲を終えるのが「受験直前」ということもザラです。高校入試であればなんとか対応できましたが、より勉強の難易度が上がる大学受験では、学校の授業や宿題だけをこなしても間に合いません。
そのため、必要な科目を自学自習で進める意識が、高校受験よりもさらに重要となるのです。
大学受験では文理で入試科目が異なる
先述のように、大学受験では国公立と私立で受験科目が大きく変わります。さらに、文理によっても受験科目が異なるため要注意です。私立大学と国公立大学の一般選抜では、文理で以下のように受験科目が異なります。
いずれも英語は共通しますが、残りの科目はまったく違うこともあり得ます。
国公立・私立や文系・理系の受験科目は、ざっくりは上記のように分類されます。ただし、大学によっては細かく「この科目は選択できる」「この科目が必須」という違いがあるため要注意です。
かなり勉強量が多く対応範囲も広いため、早めに受験校を決めて必要な科目を確認することが必要です。「高校1年の末」には文理選択を行う学校が多いため、その時期までに準備をしましょう。
大学受験では「入試情報を得ているか?」が重要
大学受験では、高校受験よりも「入試方式に関する情報をどれだけ得ているか?」が重要です。
高校受験では、自宅から通える範囲の学校を選ぶ人も多いかと思います。どれだけ広くても「少し自宅から離れた県内の高校」に通うことが多く、県外に出て一人暮らしを始める方はほぼいないでしょう。そのため、中学や地元の塾の先生も、高校に関する情報を持っていることが当たり前。
しかし大学受験では、県外の学校を志望することも普通にあります。受験方式も大学ごと・学部学科ごとでかなり違うため、丁寧に調べないと有益な情報を取りこぼすだけでなく、入試に必要な情報を得られないこともあるでしょう。
高校の先生たちも、全国にある大学すべての受験方式等について詳しく把握するのは難しいです。特に共通テストが施行されて以降は、入試制度も目まぐるしく変わっているため、先生ですら具体的な変化を知らないかもしれません。
こういった新しい入試情報を集めるためには、自分で調べるしかありません。例えば、せっかく英検2級資格を持っているのに「受験制度を知らなくて英検利用入試を申し込み損ねた」となってはもったいないですよね。
大学受験の手続きも細かくチェックする必要があるでしょう。
大学受験は偏差値の見方が重要
高校受験では志望校の選択肢が全国に広がることはほぼないので、よほど行きたい場合を除いて、自宅から通える範囲の高校を探し、中学の成績と照らし合わせて「だいたいこの偏差値の高校が合うだろう」と考えたはずです。
強いて挙げるとしたら「倍率」は気にしたのではないかと思いますが、大学受験では「倍率」よりも「偏差値」を意識することが重要です。
大学受験では例年、倍率に大きな差はないことが多いですし、合格最低点も安定しているので、それを超えられるだけの学力(偏差値)を持っていることが重視されます。
イメージとして「偏差値60の高校で成績が平均レベルだと、大学受験で偏差値50くらいを目指すことが多い」と覚えておきましょう。
大学受験のスケジュールは?
最後に大学受験のスケジュールを確認しておきましょう。大学ごとで多少差があるため、以下を参考にしつつ自分の志望校に合わせましょう。
特に出願や各種料金の振り込みなど手続き関係は、ミスってしまうと取り返しがつかないので、必ずチェックしておかないといけないですね。
以下のリンク先も確認してみてください。
大学受験の仕組みがわかったら、さっそく準備をはじめよう
国公立・私立それぞれの大学受験の仕組みや高校受験との違いなどがわかったかと思います。
大学受験は入試制度が複雑で勉強量も多いため、学校の授業だけでは対応できません。授業を疎かにしないことを前提として、合格までの学習計画を立て、自分に必要な科目の勉強に取り組むことが大切です。
とはいえ、いきなり大学受験までの長い勉強計画を立てるのはかなり困難です。
学校の定期テストで「2週間くらいの計画を立てた」という人でも、約1年間以上にも及ぶ「大学受験のための勉強計画」を作成するのは骨が折れてしまいます。
学習塾STRUXは、普段の授業に加えて「勉強計画作成サポート」も実施している塾です。生徒の志望校をヒアリングした上で、現状の学力を考慮した長期の勉強計画を作成します。
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